【ご報告】ホームページの無料診断が200件となりました

松崎まさひろのwebチェック

大阪府産業デザインセンター 専門相談員の松崎です。
2020年5月から中小企業のホームページの無料診断を行っています。
2021年1月29日に診断件数100件となり、100件の診断結果の分析を公開しました。
今回は200件となりましたので、200件分の診断結果の分析を公開したいと思います。

【診断結果の分析】

診断数200件(2020年5月~2023年2月)
ホームページの診断結果状況

ホームページ無料診断200件の集計グラフ

【診断結果から見えること】

全体的な結果から見えることは、目に見えてわかるところは多くのホームページできちんと最適化できていましたが、目に見えない箇所ではほとんどのホームページで正しく設定できていない、もしくは全く設定されていないという状況が確認できました。
ひとつひとつ見ていきましょう。

常時SSL

常時SSLの診断結果グラフ

正しく設置できていないホームページが半分以上ありました。
常時SSLが最適化できていないホームページは単にSSLの設定が行われているだけで、常にSSL下の暗号化されたアクセスになるようにリダイレクトする設定が行われていませんでした。
2014年から常時SSLの設定が強く推奨され、検索順位にも影響することとなり、多くのホームページで最適化されていきました。しかし、9年も経過した今でも半分のホームページでは正しく設定できていないという非常に残念な結果となりました。おそらくこの原因は制作する側の作業ミスや知識不足ではないかと思われます。

スマホ対応

スマートフォン対応の診断結果グラフ

多くのホームページでスマートフォン対応が最適化されていました。
2018年から検索ユーザーの多くがPCよりもスマホで検索するようになり、その状況を受けたGoogleがモバイルファーストインデックス(検索順位の決定にモバイルページを使用すること)を導入したことが追い風となり、多くのホームページで最適化されていきました。
しかし、まだ20%のホームページがPC専用のままでした。ユーザーが見にくいホームページのままではPRの機会を逃しているだろうなあと感じます。もったいないですね。

ページ表示スピード

ページ表示スピードの診断結果グラフ

こちらも2018年からGoogleがページの表示速度を検索順位の決定要因に加えました。
前の項目のスマホ対応と同時期から強く推奨され始めてきたのに、スマホ対応と比べてとても低い結果となりました。60%のホームページで「表示速度が遅い」という診断結果となりました。
PageSpeed Insightsを使って診断していて感じたのは、制作する側がページの表示速度を改善しようとする施策を全く行っていないという状況でした。画像の軽量化や圧縮、キャッシュ設定などそれほど技術的に難易度が高くない設定においても最適化されていませんでした。制作する側が予算不足で対応できなかったのか、そもそもこういった仕様を知らないのか、理由は不明です。
ホームページを訪れた方がストレスなくスムーズに操作するためにとても重要な要因なのに..。

ページタイトル

ページタイトルの診断結果グラフ

それぞれのページの内容を検索エンジンに伝えるというSEOの面でも、検索結果ページでユーザーのクリック率をあげるためにも、重要視すべきページタイトル。
集計すると70%のホームページで最適化されていない状況でした。その多くは短かすぎるページタイトルが設定されているからでした。「サービス|企業名」とか、「事例|企業名」とかです。このタイトルだけではどんなサービスなのか、どんな事例なのかわかりません。ユーザーも検索エンジンもコンテンツの判断ができません。どちらにも不親切です。
さらに良くないケースでは、全ページで「会社名」だけ記述しているケースもありました。最もひどいケースではキーワードの詰め込みスパムが行われているホームページもありました。キーワードの詰め込みはずっとずっと前にGoogleがキーワードスタッフィングというwebスパムと認定しており、手動対策(ペナルティ)が行われる可能性があります。絶対にやめましょう。

メタ・ディスクリプション

メタ・ディスクリプションの診断結果グラフ

多くのホームページで最適化されていませんでした。
メタ・ディスクリプションはページごとに概要文章を設定する箇所です。ページごとにそのページの内容を説明する文章が記述されているべきなのですが、多くの場合でそうなっていませんでした。全ページで同じ説明文章が使いまわされていたり、どのページにも存在していないケースもありました。
この結果にはひとつの原因と思われることがあります。それは検索エンジンがメタ・ディスクリプションを検索順位を決定する要因として評価しなくなったことです。
「検索エンジンが評価しないから設定しない」っておかしくないですか?
メタ・ディスクリプションは検索結果ページで、そのページの説明文章として表示されています。検索しているユーザーは検索結果ページに表示された説明文章を見て、どこをクリックするかを判断します。なので、検索エンジンだけを見て、ユーザーは無視ってやはりおかしな状況であると思うんです。「誰のためのホームページなのか..」を考えれば、メタ・ディスクリプションは全ページできちんと最適化すべきだとわかりますよね。

独自エラーページ

独自エラーページの診断結果グラフ

半分以上のホームページで設定されていませんでした。
独自エラーページとは、ユーザーがページにアクセスしたときにそのページが存在しなかったり、プログラムの動作エラーが起こった時に表示されるエラーページに、デザイン(レイアウト+メインメニュー+フッターなど)を適用して、エラーページが表示されても操作しやすいレイアウトされたエラーページが表示されて、ユーザーが迷わない・混乱しないようにするための配慮です。
こちらも5年以上前から設定が必要と言われてきているにも関わらず、今でも半数以上のホームページで設定されていない。予算が少なかったからエラーページを制作できなかったことも考えられますが、お客さんがすぐに確認できない箇所だから制作しなかったとも思えます。
ホームページにアクセスしてきてくれたユーザーのために必要な配慮はきちんと設定していおきたいものです。

コアウェブバイタル

コアウェブバイタルの診断結果グラフ

「ユーザーが体験するページの使いやすさ」を図る指標です。使いやすいページかどうかがわかるものです。前述しているページの表示スピードとともに計測されることが多いです。
こちらは、90%以上のホームページが最適化されていません。ほとんどのホームページでユーザーの使いやすさへの配慮が行われていないという結果となりました。
コアウェブバイタルは2年前から最適化を強く推奨されるようになりました。同時に検索順位を決定する要因としても評価され始めています。なのに、ほとんどのホームページで最適化されずに放置されている状況なのです。
改善するには、やや難解な設定に手間をかけなければならないので、多くの制作会社で手間と時間がかかることで敬遠されているのかもしれません。予算の関係でそこまで手間をかけられないという状況もあるかもしれません。
ですが、ホームページにアクセスしてくれるユーザーへの配慮してはこの項目もきちんと最適化すべきです。

URLの正規化

URLの正規化の診断結果グラフ

URLの正規化は、システム上の理由やサーバの設定によって同じ内容なのに複数ページ存在してしまう場合に、どのページを正規のページとして検索エンジンに評価させるかを設定することをさします。index.htmlのありなし、wwwありなしをひとつのURLにリダイレクトする設定もそれにあたります。
こちらの設定も半分以上のホームページで何も設定されていない状況でした。
検索エンジンの機能が進化したことで、URLの正規化が正しく設定されていなくても、ページの評価が低くなるケースは少なくなりました。しかし、サーチコンソール(Googleが無料提供するホームページ診断ツール)で各ページを検索エンジンがどのように評価しているかを見てみると、ページの正規化ができていない箇所において間違って評価されているケースが散見されます。検索エンジンのちょっとした評価間違いが一定期間において発生すると、その期間での集客に大きな影響が出てしまう可能性があります。
検索エンジンまかせとせず、きちんとURLを正規化して集客のロスを無くしておきましょう。

セーフブラウジング

セーフブラウジングの診断結果グラフ

セーフブラウジングとは、ウイルスに感染したホームページにアクセスした時にブラウザが警告を表示する仕組みのことを言います。このホームページ診断では、対象サイトがマルウェアやウイルスに感染していないか、その可能性がないかを検証しています。
現在までで、感染の可能性があると判断したホームページは1件だけでした。

サーバセキュア

サーバセキュアの診断結果グラフ

サーバセキュアは、ホームページを安心して利用するための安全な設定ができているかどうかを、ヘッダーセキュリティの設定状況からチェックしています。
現在までで、1つのホームページだけしか正しく設定されていませんでした。
ホームページはまず第一に「安心して閲覧・利用できる環境」を重視すべきです。有名な大手のホームページがハッキングされたというニュースを目にするようになった現在において、新規ホームページ制作・リニューアルでは最優先で取り組む必要があります。

Googleビジネスプロフィール

Googleビジネスプロフィールの診断結果グラフ

Googleでキーワードでの指名検索や、Googleマップでの検索時に表示される企業や店舗情報がGoogleビジネスプロフィールです。Googleのアカウントを持っていれば、誰もが無料で簡単に設定できます。
診断結果の状況を見ますと、無料で簡単に設定できるにもかかわらず、70%以上のホームページで最適化が実施されていませんでした。Googleが自動で生成した情報のままだったり、そもそもGoogleマップに情報が存在しない状況も多く見られました。
検索結果ページで自社の詳細な情報を表示できる格好のPRエリアであるだけでなく、検索順位にも影響があると言われている重要な設定です。
少しの手間を惜しんで、継続的なPRの機会を損失することの無いようにきちんと設定しておきましょう。

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスの診断結果グラフ

Googleアナリティクスは無料で利用できるGoogleのアクセス解析ツールです。
診断結果では、70%のホームページで導入されていました。ただ、ホームページ診断結果の解説で後日訪問した際にお聞きすると、多くの方が「アクセス解析データを見たことがない」と答えられていました。
ホームページのアクセスデータを取得し、その貴重なデータを閲覧できる状況であるにもかかわらず、「見たことがない」という状況はとても勿体無いです。
ホームページは来店(アクセス)するお客様と直接会って接客することができません。なので、お客様が何を求めているのか・どんな要望があるのかなどを直接聞くことができません。こういった状況下でお客様が求めていものや要望を聞き取るにはアクセス解析のデータが有用な情報となります。
自分勝手に想像した情報を並べておくだけではアクセスしてくるお客様の要望に応えていくことは難しいでしょう。ホームページのアクセス情報からお客様のニーズを知り、それに応える内容へとホームページ全体をアップデートしていく作業はとても重要です。アクセス解析ツールを入れたままで放ったらかしにせず、きちんとデータを活用してホームページの集客に役立てていきましょう。

最後に

2年間でちょうど200件のホームページを診断することができました。
多いのか、少ないのかわかりませんが、色々なホームページをひとつひとつじっくりと拝見させてもらえたことは、とても貴重な経験だったと思います。ただ、自分自身がホームページ制作やwebコンサルとして20年で経験してきた状況とは若干の差異を感じました。
様々な目的で作られるホームページは個々に機能や仕様、見た目が違っています。ですが、基本的な構造部分は等しく一定以上の最適化が施されていなければなりません。理由は、どんなホームページにおいても検索してアクセスしてくるユーザーがスムーズに操作できてコンテンツに辿り着きやすくなっていて、目的を達成しやすくすることが重要だからです。これが当たり前だと思っていました。しかし、ホームページ無料診断を200件実施させていただいて、当たり前のことを当たり前にやっているホームページがとても少ないことに気付かされました。
予算が極端に少ない中で制作することで必要な仕様に対して作業できないケースもあるかもしれません。しかし、サーバセキュアの設定やコアウェブバイタル、ページ表示スピードの診断項目は、ほとんどのホームページで要改善の状況となっており、全てが予算不足で対応できなかったとは言えないでしょう。
発注者が言うままに何の提案もせずに制作していたり、情報不足で必須の仕様を知らないまま制作していたり、発注者がわからないと思って必要な作業を行わなかったりといった制作する側に瑕疵があるケースが一部にはあると思います。
こういった状況がすぐに改善されていくとは思いませんが、ホームページ無料診断の結果をお知らせすることで、これから制作されるホームページにおいてこういった状況が少しでも改善していけば良いなあと思っています。
これからもホームページ無料診断を担当させていただく限り、その職務を全うし不幸な結果が起こらないよう貢献できればと思います。
以上、ホームページ無料診断200件の結果報告でした。