大阪産業局デザイン活用oidcデザイン専門員紹介2「小山啓一」

大阪産業局デザイン活用oidcのデザイン専門員「小山啓一」さんの紹介

私、小山啓一は、大阪産業局のデザインに関する専門家として「マーケティング・ブランディング・デザイン(プロダクト/グラフィック)」に対するご相談に対応しています。
皆さんに私のことを知って頂き、少しでもお役に立ちたいと思い、自己紹介をしていきたいと思います。

「マーケティングの重要性を事業主さんに問う」

デザインとマーケティング、ブランディングってとても大事です。ただ、私としては。その関係性や「だから必要」という理由を説明するのは、若干失礼だし、聞いても面白くないかと思います。

私は携帯電話などのビジネスを進める事業本部のデザインを担当していました。
それはとてもワクワクするような時間で、あの頃に戻れるならと今でも思うような、そんな浮かれた経験でした。

世の中は「携帯電話」というサービス、プロダクトに熱狂していました。屋外で電話ができるということもありましたし、当時のJ-phone、今のソフトバンクがショートメールという文化に火をつけ、2000年にシャープから販売された「カメラ付きケータイ」では、撮ったその場で画像が送れるという夢のようなことが、どんどんと現実となる訳です。

その中心にいて、デザインの責任者兼クリエイターとして、毎日のように飛行機に乗っては東京の大手通信キャリアさんと打合せを重ねる。
そんな自分がとても特別な気がしていました。

docomo style series SH-02B marimekko

ヒットメーカーとしての重責もありましたが、何かこう「降りてくる」感覚に慢心していた時期です。前回のブログでも書きましたが、何をすればウケるのか?を体得していたことが一番大きかったと思います。

携帯電話の多色展開というとんでもない商品コンセプトを打ち出したのは、当時、上り調子真っ只中のシャープ株式会社でした。「PANTONEケータイ」という21色の色から選べる携帯電話があったことをご記憶の方もおられるかと思います。
最終的には色数は29色になったとネットでは紹介されています。

これだけの色を生産上管理することがいかに大変かです。ソフトバンクさんが沢山のお金を使っていたことも間違いありませんが、多くの部品からなる携帯電話の色がきちんと合うようにするって、神業です。

この多色展開は大きな成功を収めましたが、私はこの製品やコンセプトに一切関わっていいません。

当時の通信事業に関するデザインの責任者だった「林良三」氏のアイデアであり、これを「孫正義」社長が採用を決定したという経緯だったようです。

この派手な戦略が功を奏したことで、ライバルとなるある通信キャリア事業者さんは、なんとか多色展開をと考えていました。各メーカーに提案を求めていた中で私が提案したデザインが目に留まり、製品化され、ヒット商品となったという事例があります。

お題は、7色展開の携帯電話でした。

ここで押さえなければならないマーケティングの前提があります。
実は「白」「黒」「ピンク」は定番として揃えなければならないという、調査データをもとにした約束事です。

残りの4色で、何かを語り、顧客を魅了するデザインが創れるかどうかです。携帯電話を製造できる企業は沢山あり、こぞって提案する訳ですから…。

負ける気は一切しなかったですが…(笑)

私が創ったコンセプト、デザインは「色」ではなく「世界観」でした。例えば、アウトドアを嗜好する方の中にある色の取り合わせに「濃紺」+「ライムグリーン」があります。
また、チョコミントというと「こげ茶」+「ペパーミントグリーン」といったように、色が組み合わさることで「世界観」が生まれるという実体験です。

その中で大事にしたかったことは、とにかくシンプルな箱としてデザインすることです。
箱の物語をこの色の組み合わせに投影することは、顧客心理にアプローチする為にとても重要だったのです。
箱は6つの面で構成されています。この各面に色を配置することで、色が形の影響から解き放たれ、イキイキとその役割を演じることができるからです。

そして、プリセットされた液晶画面にもこだわりました。リアルな動物や美しい女性などの写真を表示してしまうと、色が持つ個性、物語りを殺してしまうからです。

私自信が丁寧に描いたイラストは「遠景」をテーマにしていました。

SHARP AU/SH005


この商品は良く売れましたが、もうひとつ面白い結果を残しています。
7色全てが均等に売れたということです。

当初、多くの関係者は「白」「黒」「ピンク」が売れて、他のものは対して売れないのではないか?所謂「見せ色」という認識だったのです。
しかし、蓋をあけてみると「濃紺」×「ライムグリーン」の組み合わせも定番色と同じだけ売れていたのです。

単に多色の中から選ぶ場合、これは派手だし、無難な色を選ぶという心理が働くのですが、この携帯電話に関しては顧客の「好き」にアプローチできたのだと思います。
顧客は色そのものを超えて、自分のライフスタイルにフィットするデザインを選びだしていくものです。その感覚がヒット商品を生みます。

どうしたら、売れる商品づくりができるのか?
という疑問・質問に答える私の中には常に「顧客」が中心でいられるのか?「顧客」の心理、深層の深層に何が眠っているのかを見つけられているのか?があります。

一度、小山にご相談ください。
あなたが創るものを輝かせ、売ることの楽しさを創る。
そのお手伝いができれば、最高です。


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