最近のWEBホスティングサービス

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最近のWEBホスティングはどうなっているのかと思い、少し調べていたことを書きます。

WEB制作の世界もAIの影響を受け始めている中、もしかしたらローコードのWEB制作ツールも機能性・コスパの両方で完成度の高いものが出てくるのではとは常日頃考えています。そういうのを提供しているホスティングサービスがあるのか?というのが調査のきっかけです。

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今回は制作ツールの話は除外して、ホスティングサービス(サーバー選択肢)の話になります。

実際に使ってみて使い勝手の良し悪しの違いについてを検証しました。

ここのBMBは中小企業支援サイトであり、個人的にも中小企業向けのサイトを扱うことが多いので、その方面からのニーズが多い、コストパフォーマンスの高い=安いサーバーに絞ってみます。

以前にBMB勉強会でウェブ制作会社から人気が高かったものにXサーバーがあります。

このxサーバーの会社が今年10月にリリースした無料のサーバーが「シン・クラウド for Free」です。

■『シン・クラウド for Free』について

『シン・クラウド for Free』は、高速かつ高機能なサーバー環境を無料で利用できるレンタルサーバーサービスです。 有料レンタルサーバーに劣らない高速・高機能ながら、広告表示もないため、様々な用途に活用いただけます。サポートにかかるコストを最大限カットすることで、長期的に《完全無料》で提供することを目指します。問題が生じた際にも、サポート不要でご自身で適切に対処できる上級者の方などに最適なサービスです。

『シン・クラウド for Free』ニュースリリースより

ここに書かれているように、機能は従来のレンタルサーバーのライトプラン並でありながら完全無料で重量課金等もなしです。ただし上級者向けと書かれているように、用途としては比較的限定的な使い方になるかと思います。低コストでサイトを制作してもらいたい、更新頻度もほとんどない、それでいて自由度が最高に高いWEBサイトを作りたい、そういうWEBサイトやWEBサービスを用意するのに向いていると思います。

私自身も実際に活用しており、サーバー移管中のSNSのトークンを更新するAPIの設置場所などに利用しています。ワードプレスを入れてくれる機能もあり、キャンペーン等のWEBサイトとしても十分活用できます。SSH接続もでき、また.htaccessファイルも触れるので無料ながらメンテナンスや運用の自由度も確保されています。

ただこのシン・クラウド for Freeのデメリットとして3ヶ月くらい毎に契約更新ボタンを押しておかないとアップしたサイトを継続使用できないという不便さがあります。企業で安定してサイトを提供するなら有料プランにした方が安全でしょう。

 

もう1つ紹介したいのがAWS Lightsailです。こちらは定額制のVPSです。
2024.2月現在の情報では3ヶ月無料でその後数ドル/月の定額です。また似たようなクラウドサービスにGCEなどがあります。クラウドサービスの廉価版でウェブサイトの提供を考え始めるとこれらが候補になってきます。

Lightsailですが、レンタルサーバーに比べてOSやCMSの選択肢の幅が広いのが特徴です。またクラウドにしては値段がお手頃です。
ただし、実際に使ってみて分かったのですが、簡単に始めれるという点が誤解を生みやすいです。クラウドにしては簡単に始めれるという意味であって、サーバーの知識がないと到底始めれませんし、レンタルサーバーよりも立ち上げまで仕上げる作業が面倒です。ですので企業さんがウェブサイトをLightsailやGCEを指定して製作会社に依頼する場合は、これらが格安クラウドといえど作業が煩雑なので初期費用が嵩む可能性があります。

また、サーバーの運用面についてですが、Lightsailは、WordpressなどのCMSやLAMPなどのフレームワークを使う場合にbitnamiというパッケージライブラリを介してインスタンスをインストール運用しています。そして一度作成したインスタンスのOSやCMSやDBのバージョンアップをすることは出来ません。ですのでセキュリティー上アップデートする場合はインスタンスを作り直してデータ移管するしかありません。また、CPU等のスケーリングもボタン1つでは出来ずにインスタンスを作り直す必要があるようです。作業の手間や運用管理の面倒さという点ではGCEを格安で使う場合も同様で、バージョンアップは手動作業になります。

結果として、クラウドで本来享受を期待されるメリットのうち、共用サーバーでないために他者アカウント起因の負荷のリスクが少ないというメリットくらいしか残っていないように思えます。したがって製作会社に運用管理してもらうときにこの点でもコスト的にメリットは出てこない可能性が高いと感じました。

LightsailやGCEの良さは冒頭に書いたようにレンタルサーバーに比べてデフォルトで選べるOSやCMSの選択肢の幅が広い点だと思われるので、OSやCMSにこだわりが生じている場合に、期間限定のキャンペーンサイトなどを短期で運用する場合には選択肢に上がってくるのではないかと考えられます。作業費として制作運用会社からの初期導入コストだけかかり公開後は手を加えず役目を終えるというパターンになります。