クリエイティブビジネスフォーラム - BMB×メビック扇町 Web最新事情 ~戦略的サイトの構築と運用のすすめ~その③

Web最新事情 ~戦略的サイトの構築と運用のすすめ~
自分ですべきこと、業者にまかせること、その境界線を知り、Webサイトの有効活用を図る。

 今回のクリエイティブビジネスフォーラムは、Webの最新トレンド、技術動向などを探ろうと、大阪府ビジネスマッチングブログ(BMB)とメビック扇町との協働で開催された。Web制作・運営管理のプロフェッショナル4名が、Web業界の“いま”を語った。

CMS導入は、自社でサイト改善ができる環境を整える。

 続いて3番目のプレゼンテーションは、「CMS導入で企業のWebサイト運営はこう変わる!~CMSサイトの構築と自己メンテナンス~」と題し、コンクリートファイブジャパン(株) 代表取締役社長の菱川拓郎氏が、近年多くの企業サイトでも活用されているCMSを解説。

コンクリートファイブジャパン(株) 代表取締役社長の菱川拓郎氏

 「CMSって思っていたよりすごい!」「CMSでサイト改善が自社でもできる!」と感じてもらうことが本日の菱川氏のゴールだ。CMSとは、Web サイトのコンテンツを管理するためのシステムのこと。Webのなかにある様々なページを効率的に管理することをはじめ、コンテンツの素材(画像、動画、 PDF等)の管理やWebサイトを『管理する人』の管理もするという優れもの。しかし、CMS導入はしたけれど…、という企業も多いという。

 「サイトの改善点をアクセス解析から分析し、ページのレイアウトの変更や既存コンテンツの改善が社内で行える体制になっている方はいらっしゃいますか?」という質問に 会場からは一人だけが挙手。サイトに問題があるのは分かっているが、リニューアルする予算がないから放置あるいはサイト改善は業者まかせというもったいな い状態の企業も多い。また、これからCMS導入を検討している企業でも、ライセンス料が高額でコスト高、ブログをカスタマイズする程度の機能しかないので は、といった偏った思い込みがあるかもしれない。

 そんなもったいない状態や偏った思い込みを払拭して「CMSサイトでできること」を的確に認識する必要がありそうだ。多くのことができるCMSサイ トだが、菱川氏は、(1)お知らせの更新、(2)SEO解析によるサイト改善、(3)運用フローの構築、をピックアップ&解説。お知らせの更新は、 「CMSを入れて、お知らせだけ追加できればいいから」という企業の声をよく聞くそうだが、本当にそれだけでいいのか、というのが菱川氏の主張だ。さした る目的もなくなんとなく機能だけ付加しているという姿勢では、そのうちお知らせの更新も滞りがちになり、いつしか放置されてしまうだろう。それではなんの ためにCMSを導入したのかといったボヤキも聞こえてきそうだ。

 Webは、紙・電波媒体とは異なり、中小企業が費用を抑え効果検証ができる数少ないメディアである。アクセス解析やABテストなどのツールからサイ ト改善につながるデータを収集することがポイントで、キーワード順位、PVの推移だけではWebサイトが抱える問題点とその原因が見えてこない。そこで改善のフローとしては、検証したデータから『仮説』を立て、改善案を立案・『実行』、効果を定量的に『検証』といった一連の作業がある。

 Webサイトの問題点は、ユーザーがサイトに求めている『要望』と『提供される情報』との間のズレに隠れている場合が多い。たとえば、サイト流入からコンバージョン(問い合 わせ等)に至る経路でなにかの不都合があり、ユーザーが離脱するケース、流入ワードや広告の表現とランディングページに表現されている情報が合致していな いためにすぐにページを離れてしまうケースなど。また逆に、アクセス数は少ないけれど、実は自社に対する潜在的なニーズを表しているような貴重な情報を見 落とすことも。これらを避けるために『仮説』『実行』『検証』が有効で不可欠なのだ。

CMS導入で企業のWebサイト運営はこう変わる!~CMSサイトの構築と自己メンテナンス~

 さまざまなケースを想定した改善プラン例A~Dの説明後、「プランは仮説、いくらでも出せます。確実な仮説などなく、実行し、検証することが大切で す。その積み重ねから得た知見が自社の財産となる。必要なのは費用をかけずにすぐ実行できる環境です」と菱川氏。つまりCMS導入は、Webサイトの仮説 から得た改善策を実行できる環境づくりだということだ。

 ではそれを実際どうやってやるのかということで、操作デモへ。ページの編集やメタ情報の更新、デザインの変更などのデモを通じて、CMSの利便性、 有用性を感じてもらえたのではないだろうか。運用フローの構築、その他CMSサイトでできることの解説のあと、最後にデモで使用した 『concrete5』の紹介があった。

 オープンソースでだれでもライセンス費用を支払わずに利用できる。「オープンソースCMSは安くて低機能なフリーソフトではなく、ビジネスの現場で 使われている高機能なソフトウェア」だから、開発・運用コストをトータルで節約できるということである。保証・サポートがないなど、注意点もいくつかある が、お知らせ更新だけではなくWebサイト改善を自社で即実践できる環境が得られるというCMS導入のメリットは特に中小企業にとって『希望』かもしれな い。

 

開催日時:2014年11月5日(水)18:30〜21:30

会場:メビック扇町 ロビー

主催:大阪府産業デザインセンター、(地独)大阪府立産業技術総合研究所、メビック扇町