「BMB第57回勉強会」開催報告「熱処理装置のIoT-異常の予兆をとらえるデータ分析技術の紹介」

BMB事務局の川本です。
遅くなりましたが、2024年11月に行われたBMB第57回勉強会「 AIを活用した産業機械の異常検知から予知保全まで」の事例1で紹介しました、
「熱処理装置のIoT-異常の予兆をとらえるデータ分析技術の紹介」について、開催報告を掲載いたします。
 

講演者:株式会社ジェイテクトサーモシステム 商品開発部 谷口 尚暉 氏

株式会社ジェイテクトサーモシステム 商品開発部 谷口 尚暉 氏

概要:
本セミナーでは、熱処理装置におけるIoT技術の活用と、異常予兆検知を目的としたデータ分析技術について解説が行われた。特に、浸炭炉における設備異常の事例をもとに、従来のしきい値管理の限界と、新たなデータ分析手法による予兆検知の有効性が示された。

講演内容の要点:

    熱処理装置の概要と課題
        浸炭炉の仕組み(バッチ炉・連続炉)とその過酷な使用環境
        突発的な設備トラブルが生産計画や品質へ与える影響

    従来の管理手法の課題
        しきい値設定による異常検知の限界(誤検知や検知の遅れ)
        生データの変動が大きく、故障の予兆を捉えることが困難

IoTを活用した熱処理装置の異常予兆検知技術

   出典:J-Predis(IoT/予兆検知),株式会社ジェイテクトサーモシステム
      https://thermos.jtekt.co.jp/products/jpredis/

    具体的な適用事例
        搬送系の異常検知:モーターのトルクデータからレール等の歪みを分析
        O2センサーの劣化診断:バルブ開度の挙動変化からセンサーの劣化を可視化
        ファンの軸受異常検知:モータートルクと振動解析を組み合わせた異常予兆検知
        真空排気異常の検出:真空排気時間の特徴量を用いたリーク検知

    IoTシステム「J-Predis」の導入と今後の展望
        クラウドを活用したリアルタイム監視とデータ分析の実施
        セキュリティ対策の強化と、より早期の異常検知技術の開発
        将来的にはデータ活用による様々な問題解決の実現を目指す 

J-Predis(IoT/予兆検知)
   出典:J-Predis(IoT/予兆検知),株式会社ジェイテクトサーモシステム,
      https://thermos.jtekt.co.jp/products/jpredis/

 

まとめ:
本講演では、IoT技術を活用した熱処理装置の異常予兆検知の実践的なアプローチが詳細に紹介された。従来の手法では困難であった設備の劣化予測を、データ解析と機械学習によって実現する技術は、多くの参加者にとって関心の高い内容であった。今後の展開として、予兆検知のさらなる精度向上や、データ活用による様々な問題解決の実現が期待される。