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プロダクトデザインによるファシリテーション

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今日も和紙の産地をウロウロ.
色々と提案をしますが、「面白そう」とスグに乗ってくるところと「どうしよう?」とスグに腕組みをするところと大きく分かれます.ただ、構造的に沈んできているので、色々と率先して工夫しているところですら「暗くなる」そうです.

デザイナーなのでデザインで産地のお手伝いをしているのですが、気をつけているのは「あまりデザインをしすぎない」こと.
これはスタイリングを考えないということではなく、伝統工芸の現場では本来は職人が主役なので、彼らが色々と工夫を凝らすしてデザインしていく環境を整えられないかということです.
単に「良いデザイン」を提供していくだけでは、いわばデザインが麻薬の様な作用になってしまい、デザイナーがいなくなった途端に元の木阿弥(か、それ以下)になってしまいます.
職人と一緒に考えてつくることにより、かれらが自分のデザインをつくるという事に積極的になり、デザイナーがいなくなってもどんどんと新しいものを生み出す環境を作れないかともくろんでいます.

そういう、いわば「プロダクトデザインによるファシリテーション」(言葉はかなり曲解して使っているのは自覚してます、、、)が今回の狙いです.

とにかく現場を歩く

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今週末も和紙の産地へ.一応組合を経由しての仕事なので、各漉き場さんに公平に当たりますが、やはりやる気のあるところと組んで成功事例を作るのが先決でしょう.
ヒアリングも兼ねて色々廻っていますが、双方に「こうしたい」という思いがあるとお互い思いもよらなかった新しい切口が見えてきたりします.現場に行くと本当に新しい発見がいつもあります.
今年入学した学生と話していると、「デザイナーってキレイなオフィスで働くものだと思っていました」と言われましたが、プロダクトデザイナーは汚い工場にはいってこそ仕事が出来るものだったりします.

写真は機械漉きの紙を漉くドラムの内側.古い機械ですが、手入れも良く順調に動いていました.

ラヂオの時間

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0618radio

今日は京都のコミュイティFMである、京都三条ラジオカフェKYOTO HAPPY NPO !という番組に出演させていただくので、収録に行ってきました.
理事をしているNPOの紹介とそのかかわり合いということで喋ってきましたが、最近は人前で喋るのもずいぶんと慣れてきていますが言い直しの出来ないラジオでは(まあ収録だけどほとんど一発取り)緊張していました.それを考えるとキヨピーはすごいなぁ、、、.(地元ネタ)
今週末の日曜日の午前10時からということで、良ければ聞いてください.

その後パーソナリティを努めて頂いた、きょうとNPOセンターのTさんとHさんと情報交換.
色々と面白そうな動きをされています.

竹の家具

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金曜日はインテリアデザインサロンへ.テオリという、竹の集成材を活かした家具や雑貨を製造するメーカーのお話でした.
100%デザインなどで拝見していたので、かなりデザインオリエンテッドな会社のような印象を持っていましたが、お話をお伺いしていると中小のベンチャー企業が手探りながらもデザインを軸に生き残りを図っている様子でした.
逆にその分、出来ることの積み重ねでここまで来た実績の重さを感じました.

竹の素材感は木とはまた違う独特の風合いで、その性質を良く理解してほれ込んでいる社長とデザイナーのコミュニケーションの良さが、商品の質の高さに繋がっているのでしょう.

ブランドって

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最近周りの色々なところで、「ブランドのデザイン」の話題になりました.
今出ているAXISも内省的なブランドの特集です.が、基本的に「ブランド=全人格=信用」なので、単にキレイな服を選んだり、しゃべり方を直したりしても、その育ちの悪さを隠し通せるものでもありません.
当然、信用はお金で買えない(信用がありそうに見せることは可能ですが)ので、行動や考え方の積み重ねになりますが、それをしっかり行って伝えることを続けるのはかなりのパワーが必要です.

まあ、もちろんしっかりした人なのに、ヨレヨレの服で「いいまつがい」ばかりの言葉を使っていては信用は無くなるので、そういう意味でのデザインの仕事は重要なのですけど.

そういう意味では、ブランディングってマイフェアレディなのですね.

コンセンサスのデザイン

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先日地方に出張した際に、駅の多目的トイレ(車いす用のトイレ)に入った際に見つけました.
トイレに非常用呼び出しベルがあるのはよくあるのですが、水を流すボタンと間違って押してしまう人が多いようです.
業界内部では、非常用呼び出しベルの位置なども標準化しつつあるようですが、どちらも「分かりやすくて、操作しやすい」ことを目的にデザインされており、何も考えずに機器を選ぶとこういうことになるのでしょう.

色々とスタイリングへの方策はあるのですが、こういう所に求められるのは「普通はこう操作する」というコンセンサスをデザインすることが根本的な課題解決になるのでしょうね.


関係ないですけど車いす用のトイレは、特に重度の脊損の人には数センチの寸法の差で使えなくなる場合が多々あります.また、階段で上がらないと入れないトイレに、車いす用の設備(傾斜鏡:これ自体車いすでも使えない)があったりと、何も考えずにとりあえずスペックインした、という事例もたまに見受けられます.そういう思考停止のデザインは、良い反面教師になります.

漉き場をめぐる

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今週も和紙の産地へ.色々な所を回って、ヒアリングと商品や事業のアイディアの意見交換.
本当に多彩な漉き場がそろっていて、写真の製紙所は主に印刷用紙など機械で大量に漉く仕事をしています.
(建物は明治の始め頃のものだそうで、中も天井が高く格式があります)
かと思うと、手漉きでこだわった商品をつくるところも数多く、日本の産業の縮図のような産地です.

組合を経由している関係上、まんべなく漉き場と組んでいますが、それぞれに合わせた処方せんを考えねばならず、一筋縄ではいきそうにありません.

産地のデザイン

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某和紙の産地へ.漉き場を廻ってヒアリングをしてきました.
普通の和紙の産地は、主に手漉きの和紙を伝統的な作り方でつくる事を残す、という方向性でモノづくりをしています.こちらの産地は、一大産業として発展したという背景もあって、単に伝統的な事だけではなく(もちろんその方向性ものこしており人間国宝もいます)「紙」としての表現力、商品力やデザインを高める工夫を続けてきました.
こちらでは、和紙の産地にしては珍しく、手漉きの和紙も機械漉きの和紙も同じ団体でまとまっているし、漉き場の中にも手漉きと機械漉きの両方しているところも少なくないです.また、印刷や物性、価格の対応のためパルプも使うし、洋紙的な紙を漉く漉き場も珍しくないですが、その技術の基本は和紙の技術を独自に発展させたものとなっています.
そういった漉き場の技術はものすごいですし、紙のデザインも秀逸です.

この産地の場合、そういった創意工夫による成功が逆に足かせになって、間に入る問屋任せの商品作り馬鹿利していた為に、問屋の企画力の低下や海外シフトによって危機に陥っています.

ヒアリングでは、その漉き場の技術をお聞きするのもありますが、そういった変化への対応する意気込みをはかって、一緒にモノづくりをしていく所を探る目的もあります.まずは、変わる意欲のあるところとモノづくりをしていくつもりです.

人と人とが出会う場のつくりかた

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山納さんの「コモンカフェ」という本が発売になりました.東梅田の旭屋書店では、ビジネス書の所に平積みされていて、店員の手書き推薦文があった上に午前中に寄ったのにかなり減っていました.

山納さんは、現在は大阪21世紀協会ですが、以前の職場のメビック扇町時代に色々とお世話になりました.彼は、会社員の傍らコモンカフェという日替わりマスターのカフェを経営しています.

本の内容は、どこかで山納さんがおっしゃっていた事をわかりやすくまとめたもので、色々と断片的に伺っていたはなしがつながって理解できる内容です.彼の一貫した「場を作って、それを続ける」こと「文化的に豊かなスタイルの模索」の行動の軌跡が解ります.
なんといってもすごいのは、その色々と模索して現在に至っているコモンカフェのマニュアルや企画書、収支計画などの細かい資料も巻末に掲載されている事です.こういうものは、お店にとっては企業秘密にも当たる部分なのですが、それをあえて公開していることのスゴサを感じます.

奥山氏の講演会

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京都府のベンチャーコンペのキックオフとして、デザイナーの奥山清行氏の講演会に行ってきました.

1時間半程でしたがかなり盛りだくさんの内容で、充実した講演会でした.内容の前半はフィロソフィの話で、後半はマセラティと山形でのケーススタディの話でした.
話していることは結構当たり前のことを述べられていましたが、現場での体験をベースに語られているのでリアリティが高く説得力がありました.また、その当たり前のことをつないで考えられているので、思考が理路整然としていて理解のしやすいプレゼンテーションでした.
最後におっしゃっていましたが、プレゼンテーションをするということは自分の思考をまとめることととらえていて、どうもパワーポイントも今回の発表に合わせて制作したように感じました.
思考からプレゼンテーションまで、基本に忠実な考え方とそれに情熱を持っていることを貫いているのが印象的でした.

奥山氏はイタリアでの活動も長く、中小の工房でのモノづくり、ファッションなどのブランドの考え方などに精通していて、その辺のノウハウを山形での地場産業の活性化に活かしているようでした.「デザインの作業の2/3はコミュニケーション」として、広い意味でのデザインを考えられているので、今後も彼と伝統工芸とのコラボレーションが注目されると思います.