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ORISTシンポジウム「想像を遥かに超えるデザイン設計をめざして...。」開催報告①Triple Bottom Line
- 2018/08/02 12:00
- 投稿者: kawamoto(oidc) カテゴリ:セミナー報告
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遅ればせながら…去る7月20日、たかつガーデン(大阪市天王寺区)にて開催されました、ORISTシンポジウム「想像を遥かに超えるデザイン設計をめざして...。」の開催報告をいたします。
当日は午後早々の開始ということで、太陽の熱気がアスファルトに容赦なく照りつけるなか、70名(関係者含む)を越える方々にご参加いただき、革新的な生産設計への関西企業の関心の高さをうかがい知ることができました。
開催に際して(地独)大阪産業技術研究所 加工成形研究部 部長 南からの主催者挨拶の後、基調講演1として、Triple Bottom Lineの柳澤 郷司 氏にご登壇いただきました。
柳澤氏からは、「デザイナーの思考を補完するジェネラティブデザインの可能性」と題して、自らデザインと機構設計を手がけられた3Dプリンタを利用したIoT自転車「ORBITREC」の開発事例を中心にご紹介いただきました。
「ORBITREC」は、Triple Bottom LineとDMM.make AKIBA、ABBALabが共同で開発したロードバイクフレームで、カーボンファイバーチューブと金属3Dプリンタで製作したチタニウム製のジョイントパーツによって組み上げられています。
柳澤氏いわく、『金属3Dプリンタで商用部品を作成することは、全行程に渡って「応力(算出)」と「変形(ひずみ)」との戦いである。』という経験談が示すとおり、製造時にも使用時にも高い応力がかかる自転車パーツは、非常に難解且つ繊細な構造設計と製造ノウハウが求められる領域ということです。
金属3Dプリンタでのパーツ試作にはフェラーリが買えるぐらいのお金をかけたそうで、生成過程での歪みを防ぎ、量産に堪えうる品質と強度を獲得するため、「ラティス」と呼ばれる網の目構造を部品内部に仕込んだり、サポート材の入れ方を工夫するなど、考え得る様々な技法を駆使したそうです。
続いてケーススタディ2では、コンピュテーショナルデザインについてご紹介いただきました。
応用例として、照明器具のシェードデザインを取り上げ、多数の凹みレンズが重なり合った造形の拡散効果により、内部のLEDランプが見えない構造を3D-CADソフトのアルゴリズムを使うことで実現できたことを述べられました。
最後にまとめとして、3Dプリンタや3D-CADはこれからもプロダクトデザイナーの有用なツールになると明言するとともに、現在の意匠設計者と機構設計者といった明確な区分がどんどん曖昧となり、両方の知識を持つエンジニアリングデザイナーが活躍する時代が迫っている。
そのような「境界領域」にこそ新しい可能性が眠っていると会場のデザイナーやエンジニアにエールを送りました。