「デザイン行政で、日本は浮上する」セミナー

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昨夜、中之島バンクスデザインミュージアム de sign de日経デザイン下川一哉編集長とプロダクトデザイナーのムラタ・チアキさんの対談があり、聞きに行ってきました。

デザイン行政で、日本は浮上する」というテーマが、「MPDPが日本のものづくり中小企業を救う!」という私の持論にも関係があるのではないかと思い、大変興味がありました。

中之島バンクス







・医療機器はデザインの力で使いやすいものになっている。(下川編集長)

・放射能汚染の報道も、デザインの持つ「表現力」「コミュニケーション力」を活用すれば、もっとわかりやすく視聴者に伝えられるのだが・・・。

・仮設住宅が一時的にできるのは当然であるが、街の復興の為にデザインを活用しようという建設的な声が政府から出ないのは残念。いまこそ、グランドデザインが必要な時である。

・脱インフラ(電力)、スマートハウス、太陽電池による直流(家電機器)ワールドができれば、モンゴルの砂漠でも文化的な生活がデザインできる。


・誰のためのデザインか? デザインの恩恵を受けている人は世界の10%。残りの90%の人もデザインの力で幸せにしたい。エコデザイン、BOPデザイン。アフリカの人を喜ばせるデザイン、しかも日本の国力をつける意義あるデザイン。


・地球温暖化によって人口が激減するという山本良一教授の話を聞いて怖くなった・・・これからは「備えの時代」である。
⇒「人口減少は心配ありません。政府が手を打っています。計画停電はその一環なんです。(笑)」(ムラタ・チアキさん)

※弊社の道具は、「道の具え」なんです!(ネジザウルス・タカサキ)

・英国内に製造業はほとんどないが、デザイン事務所はたくさんある!デザインを輸出産業にするという国家の明確な方針がある。ビートルズは立派な輸出産業であるということを例証に、1980年代にサッチャーさんがソフト産業立国を打ち出した。

・そして1994~1995年、ブレアさんもクリエーティブ産業重視政策を実施。日本ではほとんど知られていないが、ちょうどその頃、韓国の金大中氏とブレア氏の間でデザインに関する共同宣言がなされた。その後15年間で、日本はサムソンやLGに見事に追い抜かれてしまった。ソウルは世界デザイン都市に選ばれている。

・Man Power投資が必要。日本の金融機関はどんなに才能があってもデザイナーには投資しない。ボクシングの世界チャンピオンに投資しないのと同じ。保証がないから。しかし、クリエーティブの源泉は個人なのだ。(ムラタ・チアキさん)
⇒個人も重要であるが、イギリスでは法人化を進めた。デザイン産業を育成する、支援するという政策を推進した。(下川編集長)

・いくら個人のデザイナーが素晴らしいデザインをしてもすぐに真似される。その為に知財で保護しようとするが費用がバカにならない。この国にも、この国にもといって出願しようとすると、500万円、600万円とすぐにかかってしまう。韓国では中小企業や個人の出願費用は非常に安い。7,000円!?日本ではパナソニックさんでも私個人でも出願費用は20~30万円と同じ!(ムラタ・チアキさん)

※このあたり、私の持論であるMPDPとかなり一致したご見解であり、やはりそうなんだ!と再認識できました。(ネジザウルス・タカサキ)

・中国では工場団地をつくる時は、必ずデザイン事務所を1社入れることを法律で義務付けている。当然、中国のものづくり企業はデザイン性を高めやすくなる。しかもヨーロッパや日本のデザイン事務所を中国に誘致している。
⇒事務所もスタッフもパソコンも全て3年間無料貸与という好条件で、安易に中国に進出しても、ノウハウをマスターした後は、はい、さよなら!になる可能性はないかな?(ムラタ・チアキさん)
⇒本拠地は日本においておくことが必要でしょうね。(下川編集長)

・いずれにしても、日本もデザインを輸出産業にすることを考えなければならない。デザイン事務所の国際化が必要。

・中国には500校ぐらいのデザイン学校、大学があり、精華大学や北京大学にもデザイン学部があり、デザイン教育に力を入れている。一方、日本では東大、京大、阪大にデザイン学部がないという差がある。

・初等教育も重要。イギリスなどでは小学校1年生ぐらいから、自分で問題を見つけて、解決させて、発表させるというプロセスを学ばせる。単に図画工作的なデザインではなく、「WHY?:何の為に?」デザインするのかという出発点から学ばせる。

・ミラノサローネ、アンビエンテ、メゾンオブジェのような「デザインのハブ」が日本にはない。幕張メッセ、パシフィコ横浜、インテックス大阪など「ハコ」はあるが「ハブ」がない。理由は集客ソフトの欠如、集客プロデューサーの欠如だと思う。IFFT、デザイナーズウィーク、デザインタイドがほぼ同時期に東京で開催されたが、もしこれらを統合プロデュ―スできれば、単独開催よりもはるかに大きな集客効果が期待できる。

・「民主導、官サポート」のパターンが最も効率が良い。大阪のDesigneastは素晴らしい民間の取り組みの一つです。大阪府産業デザインセンターもいろいろ企画があると聞いています。 

■昨年12月に予定されていた対談が、下川編集長様のご病気の為に今日になったというお話が冒頭にありました。このような震災のあとに、病み上がりのお身体で大阪に来て戴き、ムラタ・チアキさんと素晴らしい対談をしていただき、大変感謝をしております。

大阪!デザイン、頑張ります!中小企業も頑張ります!

 

■中之島バンクスは、昨年12月に大阪府との共催でラバーダックを展示した場所でもあり大変懐かしく感じました。

当時お世話になったDesigneastを推進しておられる(株)千島土地の芝川社長とde sign deキュレーターの大野裕子氏とも久しぶりにお会いすることができました。

世界の平和を願うホフマンさんによって産みだされた「ラバーダック」が、被災地の人々の心を癒してくれれば・・・・と期待しています。