低温焼なましによる機械的性質の向上

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低温焼なましにより向上を図る機械的性質は弾性限です。
ばねに大きな力を加えて変形させた後、その力を除くとばねは変形する(へたる)場合と変形しない場合があります。このような場合で、ばねがへたりを発生しない限界を「弾性限」といいます。

この弾性限をばねにおいて厳密に測定することは、ばね仕様(剛性)に左右され意外と難しいです。
材料に力を加えた場合も同様のことが生じるので、一般的には引張試験により永久ひずみが0.03%もしくは0.05%発生する応力を弾性限として用います。この弾性限が高い方がばねのへたりが少なくなり、ばねとして使用できる範囲が広がるので、低温焼なましにより弾性限を高めます。

また、材料が変形する限界の指標としては、耐力(降伏点)が用いられる。弾性限との違いは永久ひずみが0.2%発生する応力を耐力としています。下図参照

比例限度・弾性限度の求め方(弾性限を0.03%の時)
弾性限度・比例限度求め方