安原製作所回顧録

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080203yasuhara


安原製作所回顧録という本を読みました.
私はカメラは何台か持っていますがほとんどはデジカメで(唯一のフィルムカメラは京セラのSlim T(もう何年も動かしてない、、、))、撮ること自体は好きなのですが正直それほどカメラに興味は湧きません.

この本は京セラを退社した著者が、たった一人でカメラメーカーを作り挫折するという話です.
話は淡々と進むし終息のころの話はあまり語られていませんが、私も元メーカー勤めをしていたのでものすごく大変なことだったのは容易に推測できます.
ただそれが実際に商品を流通までさせていたという事実は、今後の日本のモノづくりのあり方として非常に興味深い事だと思います.

大企業はマスでモノを作るので、たくさん売らないといけない関係上どうしても万人受けするものにする必要があり、水で薄まったような商品をつくらざるを得ません.しかし、そのような商品をつくる役割はだんだん海外に移っていて、日本企業でも量産品は実際生産しているのはほとんど海外だったりします.

そういった中で、日本でのモノづくりの特徴を残して生き残る方法はこういった小さなメーカーがたくさん出来て、つぶれて、循環していく環境が出来ることだと思います.
伝統工芸もこの範疇に入ると思います.こだわった商品をつくるには最適な生産システムを持っているところが数多くあります.


いろいろとネットでも周辺の話は聞くことが出来ますが、著者がカメラマニアでありながらそれでもカメラに対する妙な迷信的なこだわりを持たず冷静な視線でいることが、まがりなりにもここまでやってこれた理由なのかもしれません.