フランス語 Bouquiniste「ブキニスト」古本商

オフィスしのも セーヌ川 la seine bouquiniste ブキニスト 古本商

bouquiner【ブキネー】というフランス語がある。動詞の「本を読む」である。

 

je bouquine【ジュ ブキヌ】私は本を読む
tu bouquines【チュ ブキヌ】あなたは本を読む
il bouquine【イル ブキヌ】彼は本を読む
nous bouquinons【ヌ ブキノン】私たちは本を読む
vous bouquinez【ヴ ブキネ】あなた方は本を読む
ils bouquinent【イル ブキヌ】彼らは本を読む

こんな風にあらゆる動詞の活用形がほぼ使いこなせるようになったころ bouquiniste【ブキニスト】という名詞に出会った。

「本の虫」だ!

すかさず自信を持って決め付けた。
幸いすぐにこの訳が間違いだとわかった。
本好き、本を読みあさる人、読書家だと思って「ブキニスト」を使っていたら おかしな会話をすることになっていただろう。

 

パリを横断するセーヌ川のほとりにはブキニスト(Bouquinistes 古本屋)と呼ばれる屋台というかスタンドというか 古い版の本を売る露天商がいて ブキニストは「ラ・セーヌ」河畔限定の古書専門店のことを意味していた。

セーヌ川沿いの 登って腰をかけれそうな石造りの柵に 緑色にペイントされた鉄製の箱がひしめくように設置されている。
左岸右岸ともに風物詩となっていて営業中は鉄の蓋を開け 閉店時は閉じて鍵をかけ商品を置いていくスタイル。
ファッション誌から 時代ものの美しい絵があることも。
長く訪れていないけど ここだけは現金支払いで続けて欲しいなっていう情緒がある。

16世紀ごろから始まったこの文化は パリになくてはならない風景のひとつでしょう。
もともとは古本や古雑誌を売るお店は 2、30年前ではすでにパリの風景画、ポスター、ポストカード、など、観光客に嬉しい物も置いていた。

 

ちなみに本当の「本好き、(古)本を読みあさる人、読書家」は bouquineur(男性名詞)【ブキヌー(ル)】、bouquineuse(女性名詞)【ブキヌーズ】。
古本商bouquinerie(女性名詞)【ブキヌリー】

これらは bouquin【ブキャン】(男性名詞: = livre)という単語が由来。
 一概に言えないが 日常では 分厚い書物、教科書や蔵書に Livre【リーヴル】よりbouquin【ブキャン】が使われているようだ。

蛇足ながら 身近な単語の中に bouqu- で始まるものが bouquet【ブーケ】(男性名詞;花束)。

 

 

オフィスしのも ブキニスト 一箱古本市 岸和田城堀端 古本

 

先日 岸和田城お堀端・千亀利公園内で開催された「一箱古本市」に参加させていただいた。
お誘いをいただいた当初は
オフィスしのも の「アート製作チーム」としてのRRR【アール】から参加し芸術本などを出せるかなとも考えた。

ところがまだまだ仕事などでお世話になる本だったり 気になるページがあったりするそんな蔵書を手放す勇気がでない。
自らに問いかけ 本とにらめっこするこの葛藤も「一箱古本市」に参加する醍醐味のひとつだったと思う。
たいへん勉強になった。

小説、批評もの、ノンフィクション、古いパソコンマニュアル本などを並べた。
登山ですれ違う方に「こんにちは」を言うように 箱の前で立ち止まるみなさんに気さくに挨拶できる。
岸和田城と府立岸和田高校、五風荘に囲まれた絶景エリアは 小春日和以上の陽だまりとなり そんななか1日店主を務めさせていただいた。
それぞれのお客さまとのやりとりの面白さも贅沢な経験となった。

セーヌ川沿いならぬ 岸和田城お堀端にて 本への想いと古本商の気分を味わう貴重で楽しいひとときだった。