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CDからライブへの転換
- 2012/04/10 09:00
- 投稿者: takebayashi カテゴリ:PEST分析
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レコード各社がライブに活路を見出そうとしている背景について考えてみました。
02年4438億円→11年2117億円
オーディオレコード(と呼ぶらしい、もちろんCDがメインだろう)の売上額は、この10年間で半減した(一般社団法人日本レコード協会調べ:http://www.riaj.or.jp/data/aud_rec/aud_m.html)。市場規模が半減したのだから、関連各社は軒並み倒産となってもおかしくないところだが、意外にしぶとく生き残っている。
とはいえ今後、市場が復活することはあり得ない。なぜなら音楽マーケットは根本的に市場構造が変わってしまったからだ。変えたのは、インターネットであり、iTunes Music Storeである。より具体的にいうなら、iPodが音楽業界を根底から覆したといっていい。
これによりレコード各社はビジネスモデルの転換を余儀なくされた。iPod以前の音楽業界をバリューチェーンでみれば、次のようになるだろう。おそらくはCD制作が、もっとも旨みのあるプロセスだったはずだ。CD制作は原盤さえ作ってしまえば、あとはデジタルコピーするだけである。
この価値の源泉ともいえる部分が、ごっそりと抜け落ちているのだから、従来のビジネスモデルを継続していたのでは、やがて滅びるしかない。そこで今、各社がライブ活動に力を入れている(日経産業新聞2012年4月6日付7面)。
ビジネスを行う環境要件(Political・Economical・Social・Technological)が変わると、当然、マーケティング展開つまり4Pの展開にも大きな影響を及ぼす。音楽業界の場合は、インターネット&音楽のネット配信というTechnologicalな変化が、従来のProduct『CD』を基盤としたバリューチェーンを崩しさったために、新たなProduct『ライブ』への変化を強いられているのだ。
Productが変わるのだから、Price、Promotion、Placeも変わらざるをえない。その意味で音楽業界は、今まさに大変革の真っ最中というところなのだろう。ただしCDをProductとしたビジネスがボロい商売だったの対して(だから各社ともに利益の蓄積があり、まだ何とか持っているのではないか)、手間のかかるライブビジネスへの転換は、そう簡単ではないだろう。
ライブの本数は「10年に国内で開かれた公演数は1万8千本と01年の2倍に増えている(前掲紙)」。とはいえ、ライブの売上がCDの売上落ち込みをカバーするのは、相当な本数が必要になるのではないだろうか。仮にライブ1本のチケットが5000円、平均で1本あたり1000人入場するとして、1万8千本なら年間900億円になる。
もっとも、1年間で全世界31カ国を回り、123回ステージに立ち、総動員数にして600万人といわれるローリング・ストーンズなら、1グループで年間1000億円ぐらいの売上をたたき出しているはずだ(http://www.insightnow.jp/article/1335)。
またユーザーからすれば、やはりアーティストの生の姿は見たいだろう。だからこまめにライブを組んでいけば、それなりに集客できる可能性はある。そこでレコード各社が従来とは異なるビジネスモデル、具体的にいえばバリューチェーンの再編成に成功するかどうか。PESTの変化が変えた新たなビジネスモデルのケースとして、レコード会社各社のライブ展開は注目する価値がある。
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https://www.insightnow.jp/communities/id/130