4月13日の数字:iPadは原価率50%

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損して得取れ型のビジネスモデルがありました。
カミソリのジレットに始まり、かつての携帯電話もそう。
ところがアップルがやっているのは
「得して、もっと得取れ」とでもいうべきビジネスモデルです。

つい先日、アメリカで発売開始、と同時に初回出荷分が売り切れたいわれる『iPad』。早くもアルファブロガーたちの間では、絶賛されているようだ。

そして、これがまたメーカーとして、画期的なビジネスモデルを見せてくれている。メーカーとしては、相当に高い粗利を取っている。原価率は、iPhoneと同じくざっと50%である。

「(米調査会社の)原価推定によると、部品は販売金額の50%を占めた。液晶ディスプレーやタッチパネルなどユーザーインターフェース関連の部品が部品原価の43.7%を占めた(日経産業新聞2010年4月9日付3面)」

従って販売価格499ドルに対して、粗利益は239ドル、粗利率でみれば48%となる。ちなみにPS3は原価が800ドルを超えるぐらいなのに、販売価格は499ドル。つまり1台売るごとに300ドルの赤字だ。

もちろんPS3はゲームソフトで赤字を回収するのだろうが、アップルのすごいところは、ハードで稼ぎソフトでも利益をたたき出すこと。iTMS、あるいはiBookStoreで本や雑誌などを売る。このお店は、もちろんアップル直営である。

しかも、書籍に関しては現時点ではアメリカ限定だが、iTMSで音楽を買う分には世界中の誰でもが買える。世界中に音楽ショップを出すことを考えれば、iTMSがどれだけコストパフォーマンスの高いビジネスであるかは、簡単に想像がつくはず。

同じことが本や雑誌の世界でも起こる。これは起こるだろうとか、起こるかもしれない、といった低い確率の話ではない。近い将来、必ず絶対に間違いなく起こる。しかもiPadというハードでも、きっちりと利益を取りながらだ。

マーケティングの世界には『ジレットモデル』と呼ばれる古典的な販売手法がある。日本流でいえば『損して得取れ』商法といえるだろう。

早い話が、ジレットはカミソリホルダーを原価を考えればあり得ない安い価格で売り、その代わり替え刃で今度はあり得ない利益率をのせる。替え刃などは単価で見れば安いもの、どんなに高い利益率が乗っていたとしてもユーザーは気にしない。結果的に儲かる。

という仕組みだったのだが、アップルがiPhoneやiPadで展開しているのは『得して、さらに得する』商法なのではないだろうか。そりゃ強いですよ。