3月4日の数字:日本ブランドは世界で通用するが6割

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Made in Japanは信頼の証。
そのブランド力は、いまでも強いものがあります。
これをどう活かせるかがグローバルマーケットでの
勝負を決めるカギとなります。

日経BP社発行の『日経ものづくり』誌の調査結果。「日本というブランドが世界で通用すると考えている人は約6割(日経産業新聞2010年3月1日付13面)」。Made in Japanの威光は、衰えたとはいえまだまだ健在だ。

ただし決して安泰ではない。「日本企業が得意としてきた自動車や電子機器の分野でも、新興国市場では韓国や中国企業の台頭が著しい(前掲紙)」とある。この一文を読み流さないことが大切だと思う。

ちょうど今朝の日経産業にサムスンで以前、常務を務めた吉川良三氏の話があった。吉川氏は日立、日本鋼管を経て請われてサムスンに行かれた方である。

その吉川氏が語るサムスンの強さとは「新興国には機能をそぎ落として価格を抑えるなど製品ごとに”松竹梅”をそろえて適正価格で売るから支持される(日経産業新聞2010年3月4日付5面)」ことにある。

『日経ものづくり』の調査でも、まさにこの言葉を裏付けるような結果が出ている。すなわち「多機能・高性能が新興国市場の開拓でも武器になるとみる人は3割に満たなかった(日経産業新聞2010年3月1日付13面)」というのだ。

日本の技術力を否定するわけではないが、明らかにオーバースペックになっている嫌いもある。新興国市場では求められないほどのハイスペックが、結果的に高価格につながっては売れないのも当たり前だろう。

ニーズはロースペック&ロープライスにある。ここにハイスペック&ハイプライスで乗り込んだとしても、受け入れられる可能性は低い。その間隙を縫ってサムスンは、ミドルスペック&ローミドルプライスで攻勢をかける。だから支持される。

そんな構図ができているのではないだろうか。戦後の日本の経済成長を支えてきたのは、メーカーのたゆまざる品質改善努力だ。そのことに間違いはない。しかし、ハイスペックだけを追い求めているうちに、必要のないオーバースペックに至っている部分があるのではないか。

いくら機能が優れていて、品質が高くとも、必要のないスペックに、対価を支払ってくれるユーザーはいない。発想の転換は難しいのかもしれないが、あえてスペックダウンを図る。それでいて競合優位性をどこかで保つ。そして競合に勝てるプライス戦略を採る。しかもMade in Japanのブランド付きで。

そんなマーケティング戦略が求められる状況になっているのだと思う。