2月22日の数字:納期わずかに40分

  • 投稿者:  
  • 表示回数 1,621

納期40分。一体どんな仕組みを作れば
そんな究極のジャスト・イン・タイムを実現できるのでしょうか。
自動車業界の中で唯一好調といわれる富士重工業ならではの
仕組みと仕掛けがそこにはあるようです。

富士重工業系の内装品メーカー・しげる工業は、工場内のライン配置を富士重工業の主力工場と同じレイアウトに変更した。そして1時間ごとに生産情報を共有し、必要な部品を生産する。

これにより納期を40分、保有在庫を以前の5分の1にまで減らすことができた。まさにジャスト・イン・タイムを地でいく改革だ。トヨタのリコール問題ばかりがクローズアップされていて、ほとんど注目されていないが富士重工業が元気である。

原価低減に取り組み、その成果も着実に出している。しかも、そのプロセスが特徴的で、単に下請けを叩くだけではない。「ケイレツとしてがっちり囲い込んできた部品メーカーに富士重自ら「浮気」を促す(日経産業新聞2月22日付11面)」という。

具体的には系列メーカーがそのパーツを、ほかの自動車メーカーに販売する後押しをするという。そんな話は聞いたことがないが、なぜそんなことをするかといえば「スバル以外の供給先が増えれば量産効果が生まれ、結果的に当社のコスト削減にもつながる(前掲紙)」からだ。

この動きをどう受け止めるのか。

二つの側面があるのではないだろうか。一つには自動車という製品のコモディティ化があるように思う。もちろん基幹パーツはノウハウの固まりであり、そこだけは絶対に他社に明かすことはできないはずだ。しかし、一方ではたいていのパーツがコモディティ化している。あるいは日本製パーツはすでに、品質面では完全に極みを達しているといってもいいのかもしれない。

もう一つは、中国メーカーの動きではないのだろうか。その品質向上スピードはどんどん高まっている。そしてコスト競争力が強いのは言わずもがな。系列にこだわらず量産効果を求めないことには、いずれ中国メーカーとの価格競争には勝てなくなる。それでは富士重が困るということだと思う。

こうした富士重の動きは、系列サイドからのアピールと富士重サイドの危機感がマッチした始まったという。以前なら「スバルには開発という聖域(前掲紙)」あるため、系列の提案改善などを聞く耳は持たなかった。しかし、それでは今後の生き残りは難しい。

そう判断したスバルの方向転換は、結果的に明らかな原価低減と製品競争力となって報われている。下請けだからと受け身になるのではなく、今だからこそ下請けの提案力を活用してもらうよう働きかけること。こうした動きが大切なのだ。