12月25日の数字:年間12兆円の市場、今後4年で3倍に急成長

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COP15では極めて後ろ向きだった中国で今後、
環境関連マーケットが急成長する。
そんな話があります。
本当でしょうか?
「2008年の同国(中国)の省エネ・環境産業の市場規模は約9000億元(約12兆円)。12年には3倍になると見込む(日経産業新聞2009年12月22日付1面)」

中国といえば、つい先日のCOP15では新興国の利益代表として、温暖化ガス排出削減策を大幅に後退させた張本人でもある。その国で省エネ・環境関連の市場がそんなに急成長するものなのか。

もっともな疑問ではあるが、これはあまりに表層的な中国理解だ。かの国の人たちは、物事を30年ぐらいのスパンで考えるのが基本。環境問題についても当然、それぐらいのロングスパンで先読みをしている。

今回の国際会議では過酷な枠をはめることは拒んだ。それはそれで当然のロジックが働いている。いま、最低でも8%程度の経済成長を遂げないと、治安が一気に悪化する国内事情が前提なのだから、成長にブレーキをかけることはできない。

とはいえ環境悪化が深刻化していることも同時に理解しており、そのための対策が喫緊の課題であることもわかっている。だから環境関連マーケットは確実に存在するし、今後急成長することもほぼ確定した未来なのだ。

こうした中国のしたたかともいえる二面性を理解しておかないことには、かの国とビジネスを進めることは難しいだろう。

おそらく今中国が待っているのは、環境関連技術の劇的な進化だ。それは固定電話が普及する前に携帯電話に移行したように、あるいは電話線でのネット接続を経ずに一気に光ファイバーが普及したように、さらには電気自動車の普及率でいきなり世界トップをめざすように。

環境技術が飛躍的に進歩し、すなわちコストも大幅に下がった段階を待ち、満を持して導入する。今はまだ、コストがこなれていないと見て一歩引いて待つ。これが中国の環境に関する国家戦略ではないのだろうか。

それでもの12兆円市場であり、今後4年で3倍に成長すると見込まれている。この国が一気呵成に環境問題に真剣に取り組み始めたとき、どうなるのか。環境関連メーカーは、そこを読んだ展開を考えておけばどうだろう。

中国のような30年単位思考は無理だとしても、10年ぐらいのスパンで先を読んだとき、中国の環境マーケットは巨大有望市場となるはずだ。