ノリの培養にマイクロバブル

  

40.マイクロバブルと日本混相流学会講演会(その2)

  ――植物に及ぼすマイクロバブルの効果――

 

  「ノリの培養にマイクロバブル」氷室昭三先生(有明高専)      

                               (有)OKエンジニアリング

 8月7日から9日まで、熊本大学で第28回日本混相流学会の総会と講演会がありました。
昨年に続き2回目の参加になります。非常に勉強になりました。論文発表の中から私が興味を持ったものを数回にわたって書きたいと思います。最初は氷室先生の報告です。

ノリの培養にマイクロバブル
 昨年は「マイクロバブルを使った焼酎づくり」(氷室昭三氏他2名)で、焼酎の味がまろやかになることが味覚センサーで立証されこと、マイクロバブルの酵母への生物活性作用を確認できたことが報告され興味を持ちました。
 今年は、「ノリの培養へのマイクロバブルの適用」に関する研究でした。「試験規模は、縦2m、横2m、深さ約1mのノリ糸状体培養水槽44基のうちの1基をマイクロバブルでバブリングした。試験期間は6月29日~7月30日とした。」「マイクロバブル発生装置2台を対角線上に設置した。」

 この実験で興味深いことが、観察されています。
①「マイクロバブル効果確認試験における溶存酸素濃度から、夜間はノリ糸状体や珪藻類のの自呼吸により、昼間、光合成で蓄えた培養水槽内の溶存酸素が消費されているのがわかった。」
②「また、マイクロバブル系のノリ糸状体は、対照系に比べて、酸素を供給しているにもかかわらず、溶存酸素の消費量から、夜間、非常に活発に活動しているものも判明した。」
③「マイクロバブル系も対照系もpHは約8.2でほぼ安定していた。
④原因はっきりしないが「7月下旬頃より、珪藻類の付着が激しく、糸状体の成長が遅いとの報告を受けたため、7/31急遽、装置を撤去した。
⑤「しかしながら、10月にはノリの胞子定着率において、マイクロバブル試験を行っていた培養水槽の糸状体が、44槽中で一番よかった。
⑥「通常の糸状体の胞子率が60%であるのに対して、マイクロバブル適用糸状体は、85%であった。」

 この結果からすると、マイクロバはノリに対して大きな効果があることが分ります。
  「ノリの担当者によると『種入れ時期が5月と遅く、条件が悪いにも関わらず、顕微鏡検査をすると、胞子の色、形とも申し分なく、普通に、胞子定着率85%のものを作ろうとしても作れない。‐‐‐‐‐。』とのことであった。」と結んでいます。
 
 今後、胞子定着率アップのメカニズムは明らかにされるでしょう。これもまた、興味があります。


  同時に、イチゴとトマトについての報告もありましたが、次回にします。