つつした
今年で三年目になります、素の紙展のご案内.
越前和紙の組合主催で、漉き場からの商品の提案ということで、色々とお手伝いさせていただいています.
また、12日はミニセミナーとしまして、建築家の丸谷さんによる講演会を開催いたします.私も会場に居ますので、ぜひお越しください.
「素の紙展」
2007年10月10日(水)~10月13日(土)
港区 エコプラザ 東京えちぜん物語2007会場内
開館時間:11:00~19:00 会期中無休
東京都港区虎ノ門3-6-9 (日比谷線神谷町駅徒歩五分、虎ノ門パストラル隣)
地図
主催:福井県和紙工業協同組合
福井県和紙工業協同組合は、「素の紙展」と題して漉き場から提案する和紙の展示会を開催いたします。
越前は伝統の技術に裏打ちされた日本で最も古い和紙生産拠点として知られています。現在も約70の漉き場があつまり、その用途も、美術用紙から襖用紙、証券用紙、小間紙など多種多様にわたります。和紙の生産方法も、昔ながらの手漉きの方法で和紙を漉く所や、機械化により効率良く特殊な和紙を漉く所など大小の漉き場が幅広く集まり、産地として様々なニーズに応えられる体制となっています。
今回は、和紙をそのまま住宅の壁紙として利用する「和紙壁紙」、証券用紙に利用されていた「透かし」の技術を応用した「グリーティングカード」や「インテリア小物」、その他漉き場独自の技術を用いた作品などを展示いたします。また、会期中は住宅建築の著名な建築家による「和紙と住宅」をテーマにした講演会も開催します。ぜひ会場に足をお運びください。
ミニセミナー 「和紙の和紙たる所以、その生かし方」
10月12日(金) 17:30~19:00 「素の紙展」会場内
講師:丸谷博男(建築家)
1級建築士事務所(株)エーアンドエーセントラル(Arts and Architecture)代表
NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップ代表
クラフトセンタージャパン評議委員/日本クラフトデザイン協会会員
函館のワタナヴェさんが、「縮小する都市と、対抗する知恵」をテーマに活動されています.
元々ドイツの建築家が始めた活動で、脱工業化により衰退する都市を考えるものです.
今日、地元の伝統産業の勉強会に出席すると、西陣織も国内の生産量はもとより中国などからの輸入量ですら減少傾向にあって、明らかに市場がシュリンクしているとのこと.
その中での打開策を探すわけですが、都市の縮小と同時に産業も縮小をしながらどう生き続けるのか、という右肩上がりの時代とは別の視点を持つ必要があるように、お話を聞きながら思いました.
少し高速道をとばして、地方の窯元へ.
こちらは、陶器といっても瓶などの大物ばかりを制作されているところです.
色々と今後の打ち合わせをしました.こちらも陶器の作り方はだいたい解っているので技術的なすり合わせは話が早いのですが、やはり産地ごとの違いや作り方の違いに驚くことも多いです.
本当に、こういう伝統産業の技術は宝の山です.
色々とアイディアのネタを頂いて、帰ってきました.
サスガに最近の日中は部屋の中でも暑く、クーラーをかけないとMacは3分程度で熱暴走をはじめます.
夕方からは、毎年お邪魔しているソフトデバイスさんのパーティへ.こちらはインタラクションデザインのデザイン事務所さんで、業界では有数の所です.
毎年ほぼ日さんの企画とタイアップして、送り火のインターネット中継をされています.今年はチームで撮影だそうで、大文字がなんとか見える会場にも他の送り火の画像が送られてきていました.
会場にはライトペンが置かれていて、空中でライトペンを振ると、その軌跡がプロジェクターに残像として残ります.テクノロジーは色々とありますが、それを定性的な感覚でコーディネートするのがデザインの力でもあります.
情報デザインに詳しいW辺さんの大学向けブログで勧めていた、梅棹 忠夫氏の情報の文明学を、今さらながら読んでいます.
内容は情報化社会の時代を予言して解説したもので、彼が「情報産業」という言葉の名付け親でもあります.
メタファーも面白く、第一次産業を食べ物に関連するものとして「内胚葉産業」、第二次産業、第三次産業を物質とエネルギー(運動)として「中胚葉産業」、情報産業を神経系にたとえて「外胚葉産業」と、発生学的に捉えています.
本人は意識しているかどうかは解りませんが、情報という言葉をつかってデザインの価値をよく表現してあり、情報に価値を置く情報化社会=「デザインの価値が向上する社会」と置き換えて読むと解りやすくなります.
また、その経済的価値(価格)を、工業化によって得られた物質とエネルギーではかる方法では破綻がくることを的確に述べてあり、未だに現場レベルでデザインの価値が良く理解されない一因になっていることを連想します.
なによりスゴイのが、これだけの内容を1963年(正確には1962年に脱稿して翌年の正月に発表)に書かれていたということ.インターネットはその原形のARPANETすら誕生していない頃に、情報化時代を的確に予言していたのは驚きです.
日本はもうそれ以外には道はなさそうです。だから、そういう「情報の生産」をする。物質の生産はもうほかの地域にどんどんうつってゆき、それにまかせる。ところが、物質の生産自身も、情報が生産され処理されるところでひじょうに能率的にすすむということもあるのです。これでだいたい日本は、二十一世紀になんとか生きのびられる。(1980年のインタビューより)
この言葉も、現在の海外生産が進む中で情報化による生産性の向上や、デザインなどによる定性的な価値の向上を示唆しています.
45年も前にこの様な論文があったのに、逆に書かれていること以上の成果が無いのは我々の怠慢かもしれません.
某大学で後期はコミュニケーション系の軽い授業を担当していますが、脱線してこれをテキストにしてみようか、、、、
勉強会でお世話になっている京仏具小堀さんで、山科の陶器市に併せて工房のオープンハウス(なんて呼ぶのだろう?)をされているので行ってきました.
本当は金曜日に行こうと思ったのですが、車が動かなくなって(10年間変えていなかったバッテリーについに反旗を翻されてしまいました)なんとか終わる間際に行きました.
工房見学も、担当者の方が付いて色々と説明をしていただけたので、全然知らない世界を良く理解できました.
仏壇には設計図なども一応ありますが基本的にこの棒に採寸して、これ一本でそれぞれの寸法を測る定規兼設計図の役割をするそうです.つまり仏壇のデザインはこの棒一本がカギになるわけです.
(屋根の曲線などは別の型があります)
ちなみにこの棒は、浅草本願寺のものだそうです.
圧巻は改修中の東本願寺の厨子で、こんなに間近でみるのは最初で最後でしょう.
説明していただいた方によると、屋根だけで2トンあったそうです.
金物も鍛金ではなく、掘ってこの厚みの装飾をしているそうで、エッジが効いてシャープで重厚な印象です.
プロポーションとディティール両方のデザインの完成度の高さに見とれてしまいます.
この仏具店さんは、日本の生活に仏壇が使われなくなっていることの危機感から、工房を開放して知ってもらう活動を継続されているようです.どの伝統工芸も、現場に足を踏み入れるとものすごい技術やデザインをお持ちなのですが、それを再び知らしめる活動に苦労しています.
こちらの活動を見ていると、奇策ではなく不断の努力がやはり効果が高いのだと実感します.