花紋折り

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紙を折る事に関する資料が欲しくて、ドタバタと図書館に行き、時間もなかったのであまり考えずに数冊選んで借りてきました.
その中の一冊が、芸艸堂の「花紋折り」という本.
これは紙を一定の法則でそれぞれ内側に折り曲げて、花のような幾何学模様をつくったものです.巻末に簡単な原理がありますが、シンプルなのに幾何学的なデザインが面白いし、使っている紙の模様や色合いも絶妙です.

なんでも、この花紋折りをはじめられた内山さんという方を「発見」したのが柳宗理さんだったそうです.当時かなりの高齢だった内山さんを自分の事務所の所員扱い(要は給料などを払う)にして、自由に創作してもらっていたものをまとめたのがこの本です.

巻頭の解説にも柳さんが、
「花紋折りは、無限の幾何学模様をかもし出しますが、数学的な一定の法則をもとにして展開されたものです.それには必ず中心があり、その中心から四方に、平等に遠心的に模様が広がります.その形態は直線的構成によっていて、マックス・ビルの抽象絵画のように、すこぶるモダーンです」
「近代デザインの基礎をなす重要なファクターは、どうやったらアイディアの捻出が得られるか、そしてどうやったら新しい美の想像が展開されるかということです.その為に今日では、種々の実験方法(イツクスペリメント)の手法がとられますが、この花紋折りはまさに、その意味で私が感心し、何とかして内山さんの意思を継いで発展させたいと思ったのです.」
などと大絶賛です.
こういうのを見ていると、インスタントなデザインでは太刀打ちできない深みを感じます.