「できること」×「やりたいこと」×「求められていること]

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いただいたメールに返信しているうちに、こんなことを書いていました。

「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」
3つの積が最大になるのが、ベストだと思っています。

自分のキャリアや仕事のあり方を考える際に何気なく基準にしていることを、
相手に伝えようと、整理した公式(?)です。

そして、これは、個人のキャリア形成だけでなく、
企業の事業領域を考える際にも使えるのではないかと思っています。

例えば、私が、数年続けてさせていただいている仕事で、
ある機関の「中堅女性のキャリア開発」という研修があります。

ここでは、
「皆さんは自分の人生の経営者なのだから、経営戦略を立てるつもりで、キャリアプランを考えよう!」と、毎年、言い続けています。
経営戦略などに関わることの少ない女性が大半でしたから、最初の年には、受講生(勤続10年程度の女性社員)は、ほぼ全員ポカ~ンとしていましたが、あきらめずに熱意と工夫を注ぎ込みました。

SWOT分析から、あるべき姿と目標を決め、そのためのアクションプランを考えていくのですが、こうすると、アクションプランの1番目は、単に「◯◯の資格を取ること」ではなく、「毎日10人のお客様の話を聞くこと」だったり、「社内の◯◯制度の第1号に応募すること」や、「毎日、新聞を15分読むこと」に変わっていきます。
「夫に家事能力を身につけてもらうこと」と、アクションプランに書く女性もいたりします。

現実的な女性は、
「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」のうち、「できること」を中心に考え、次に「求められていること」に応えようとします。
また、個性的で独立心の強い人は、「やりたいこと」を中心に考えます。
これは、どちらも間違いではありませんが、
「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」の積をを最大にするには、もちろんひとつでもゼロがあれば、全体の積がゼロになりますし、どれかひとつでも、ものすごく小さい値(<1)があると、全体の積は、もとの数値よりぐっと小さくなってしまいます。

企業の場合も同じです。
ある企業で、自社の「ブランド(外部から評価される価値)」と「DNA(内部に引き継がれている価値)」を見つめて、残すべきDNAをきっちり認識しながら、変革すべきところは変革して、ブランド力を強化しよう、ということに取り組んでいます。
これは、「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」のうち、「できること」をもう一度見直して、「求められていること」との積を大きくしようとしていることになります。

個人も組織も、規模や年数(年齢)は違いますが、同じですよね。

「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」の3つの値のバランスは、少しずつ違います。
積が小さくなることがわかっていても、「やりたいこと」もあるでしょう。
「求められていること」に応えようとばかり考えて、自分の「やりたいこと」を我慢していると、だんだん積が収縮していくでしょう。

メールにお返事しながら、自分の「できること」×「やりたいこと」×「求められていること」も、もう一度、見直してみようと、感じたことでした。