低温焼きなましによるテンパーカラー

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ばねに低温焼なまし処理を施すと材料表面の色が変わります。
これはばね材料の金属表面が温度の上昇により酸化されて、ごく薄い酸化膜が形成されることが原因で、
低温焼なましにより色がつくのは、金属の光の反射がこの酸化膜を通すことにより光の干渉現象が起こることです。
また、温度により色が変わるのは、この干渉度が酸化膜の厚さによって変わるためで、
酸化が進み、酸化膜が厚くなると、干渉は起こらずスケールの色(灰色)となることがあります。


また、ばね材料の表面には伸線のための潤滑剤あるいは防錆油が付着していることが通常ですのでこれらの付着物により上表のテンパーカラーは同じ低温焼なまし温度でも微妙に異なる。潤滑剤や防錆油は材料製造業者によっても種類が異なるので下表は目安となります。

ステンレス鋼線の場合はピアノ線の2倍の温度で同じテンパーカラーがつくとされているが、バネね用ステンレス鋼線には潤滑剤としてニッケルめっきのあるものと無いものがあり、ニッケルめっきありの時ははテンパーカラーがつきにくいが、製造業者によりこのテンパーカラーの付きやすさも異なります。

低温焼なましによるコイルばねの変形方向と変形量
低温焼なましによるコイルばねの変形方向と変形量
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