8月3日の数字:社長求む、年俸3500万円以上

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社長を公募する。
それも新聞広告で。
日本も、ようやくそんなオープンな時代になってきたのでしょうか。

マネジメント
リーダーシップとマネジメント

東証一部上場企業、売上にして510億円の企業が社長を公募している。しかも新聞広告で「社長候補求む!」である。

日経に掲載された広告に曰く「当社の将来を託す社長候補として、優秀な人材を広く募集します」。その年俸が3500万円以上である(ちなみに同じ広告が読売にも載ったらしい。どうして日経と読売で、朝日と毎日と東京と産経はダメだったのかしらん)。

ともかく株式会社ユーシンは、2006年に一度、外部から社長を招聘している。投資会社から出資を受け入れ、社長も派遣してもらったのだ。このときは古くからいる幹部社員たちが結束して、新社長を追い出しにかかったようだ。その結果、いったん会長に退いていた元社長が復活する。

そういう社風なのか。

広告には期待する社長像も記されている。大卒以上、語学(英語)堪能、行動力、思考力に優れ、グローバル経営を任せられる若手(30代、40代歓迎)のバイタリティに満ちあふれた方。そして社内応募も歓迎するらしい。

実に興味深い。

そもそもこうして公募する前に、ヘッドハンティングをかけていたという。ところがお眼鏡に適う人材が出てこなかった。それ故の公募だと。条件だけを見れば、MBAホルダーでベンチャーキャピタルや金融系でばりばりやっていた人たちなら、誰でも当てはまりそうだ。

しかし、ユーシンは本当に、応募してきた外部の人材を社長に迎え入れるのだろうか。普通に考えれば「次はオレだ」と思っていた人が社内に何人もいるだろう。事実、同社には取締役が社長の他に6人、さらに執行役員も10人あまりいる。この人たちは、どうなるのだ?

残念ながら、現在の幹部には語学に堪能な人がいないから、公募するのだと、社長はどこかのインタビューで応えていた。だとすれば、語学ができないがために社長候補から外された現在の幹部たちは、応募者の中から新社長が選ばれたとして、すんなりと「はい、そうですか」と言うことを聞くのだろうか。

もとより、そうした事情があることをわかった上で、応募するのだろうから、応募者はそれなりの覚悟はしているのだろうけれど。それにしても、おもしろい。社長を公募するのは、日本では稀なことだけれど、欧米ではごく普通にあること。

その意味では、ユーシンの事例もやはり、新しいパラダイムの始まりを象徴する出来事、と思うのは深読みのしすぎだろうか。