7月2日の数字:9年連続前年割れ

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たとえ9年連続で前年割れしている市場でも
確実に市場が存在するなら、
その中で生き残りを図ることは可能です。
ポジショニングを変えることによって。

STP
ポジショニング


「2008年の中古車登録台数(軽自動車を除く)は08年比6%減の404万5761台。9年連続の前年割れとなり、ピークだった1997年の7割に落ち込んだ(日経MJ新聞2010年5月24日付3面)」

新車も売れていないが、それに輪をかけるような惨状となっているのが中古車市場だ。当然、中古車を扱っている企業の経営も苦しくなる。売れないだけでなく、そもそも中古車市場に出回るクルマの数自体が減ってくる。

新車を買う人が減っているのだから、当然と言えば当然の話だ。しかも一度新車を買えば、長く乗り続ける人が増えている。ということは、そうしたオーナーが仮に車を買い換えたとしても、下取りに出されるクルマに中古車としての価値はほとんどない。

とはいえ自動車メーカー・ディーラーの間では、ある程度の販売数を維持する必要があるから、登録だけ済ませて廃車にし、いわゆる新古車として売り出すビジネスだけは、依然として好調をキープしているようだ。

ともかく中古車市場が右肩下りで急降下する中で、業界最大手のガリバーインターナショナルは、どう生き残りを図ろうとしているのか。

その戦略は、ポジショニングの妙に裏付けられている。「中古車メーカー」である。中古車メーカーとは字義通りに理解するなら、中古車を製造する企業である。製造されるものは、基本的に新品であることを思えば、中古車メーカーという言葉は、そもそも成立しない。

そこが狙い目なのだろう。普通に考えれば成立し得ない業態を、あえてガリバーはとるのだ。すると、どうなるか。中古車メーカーの定義を同社が設定し、その設定通りのビジネスモデルを展開できれば、同社は完全にオンリーワンのポジションを確保できる。

では「中古車メーカー」とは何か。中古車でありながら、メーカーの新車と同じように、安心して乗れるクルマを提供する業態のことである。中でも象徴的なサービスが「あんしん10年保証」だ。

つまり中古車でありながら、新車と同じように買った時点から10年間の保証を付ける。中古車を10年乗り続ける人は、滅多にいないだろう。とはいえ、たとえ中古車といえども、10年もの長期保証が付いているなら、買い手にとっては大きな安心感となるはずだ。

要するに同社は、中古品に長期の保証を付けることで、中古車ディーラーとしては、完全にオンリーワンのポジショニングをとることに成功した。これは応用が利く事例なのではないだろうか。