ばねの「へたり」について

クリープ破談 
クリープ破談図

ある一定の荷重が長時間負荷されると、
ばねに加わる応力が弾性限度以内でも、
永久変形することがあります。
 
この変形を「へたり」と呼びます。
「へたり」は、クリープに類似した現象であり、
クリープとは上図に示されるように、
ある一定の荷重を負荷した場合、
最初の間は大きいひずみ速度でひずみが生じますが、
しだいにひずみ速度は減少し、
ある時期からひずみ速度はほとんど一定になり、
その後急激にひずみ速度が増加してクリープ破断にいたる現象を言います。
特にこの現象は高温時に顕著に認められています。
 
へたりも同様にばねの設計応力が高いほど、
また使用される環境の温度が高いほど大きくなります。
 
ばねについては、破断という点では疲労破壊が先に起
こる場合がほとんどなので、クリープ破断はあまり問題
とされないのが現状です。
 
よって一般的にばねの設計において「へたり」は疲労に比べて重要視されない場合が多いですが、
自動車の懸架ばねの場合は、ばねの「へたり」は車高の低下に直接現れてくるので、重要な特性です。
高温下で使用されるばねで繰返し応力が作用しないばね、
 
たとえば高温で物体を保持する目的で使用されるばねについては、
クリープ破断を考慮した設計が必要とされています。

「へたり」を防ぐには、材質的には高Si鋼、製造面ではセッチング等の対策が必要です。