11月20日の数字:EVはパーツ数5分の1に

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ガソリンから電気へ。
自動車の動力源が変わろうとしている。
そのとき、どんな変化が起こるのか?

ガソリン自動車のパワートレイン関連部品は、数にして約1万5000点。これが「EV(電気自動車)になると5分の1程度に減るといわれている(WEDGE誌November2009・44ページ)」

どうも自動車業界について、明るくない話ばかりが続くようだけれど仕方がない。近未来状況については、それが明るいモノであれ、そうでないモノであれ、できるだけ早い目に情報だけは得て置いた方が良いはず。ということでお読みいただきたい。

自動車産業はよく、すそ野が広いといわれる。その理由はエンジンをはじめとして、多くの関連パーツが必要となるからだ。だから多数のパーツメーカーが必要とされ、多くの雇用も生んできた。

しかしEVでは状況が一変する。変化は大きく分けて二つ。まず第一にはパーツが減る。これまでの自動車と比べれば、その20%ぐらいの部品数でEVはできあがってしまう。

もう一つはモジュール化が進むことも大きな変化だ。その結果「(EVは)家電製品のように簡単に組み立て可能になるのではないか(前掲紙)」といわれている。「実際、中国にはEVに乗り出したメーカーが200社あるとも言われている(前掲紙)」

この中国の新興EVメーカーについては、少し前のテレビ番組でも取り上げられていた。いま中国では、ちょっとした資金力があれば誰でもEVメーカーになれるようだ。というかパーツを仕入れさえすれば、一台からの受注生産に対応するメーカーというビジネスモデルも可能なのだろう。逆にいえばEVは、それぐらいパーツが汎用品化しているとも考えられるのではないか。

こうした状況は、旧来のパラダイムでこれからも何とか生き延びていこうと考える企業にとっては、極めて危機的な状況となる。しかし、逆もまた真なり、である。つまりパラダイム転換期には、必ず新しいビジネスチャンスがあるはず、と考える企業にとっては好機到来ともいえる。

「変わる」というのは、そういうことだ。既存の枠組みが壊されて、新しい枠組みが固まるまでの間にチャンスはある。アメリカのめざといベンチャー企業の中には、絶好のチャンスとばかりにGMの工場を買い取ったところもある。EV参入をめざしているのだ。

EVはモジュール化が進むと言うことは、そこにもチャンスがあるということ。もちろん各パーツの完成度を高める方向性にも、今ならいくらでも参入機会はあるはずだ。

濁流にのまれ、座して死を待つのか。流れに飛び込んで、どこかの新しい岸にたどり着くのか。勝負は、この先3年ぐらいで決まるのではないだろうか。