10月16日の数字:ビールの割合50%を下回る

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ビールに、発泡酒、そして第三のビール。
皆さんは、何がお好みでしょうか?

「ビール大手が13日まとめた1〜9月のビール系飲料出荷によると、種類別(量ベース)でビールが49.9%と初めて50%を割った(日本経済新聞2009年10月14日付朝刊13面)」

おお! 遂に、そこまでいったか。ビールが半分を割ったということは、発泡酒や第三のビールが半分を超えたということ。かつてビール好きだった身としては、結構複雑な思いがする。

少しだけ歴史を振り返っておくと、本来『ビール』には厳格な規定がある。Wikipediaによれば「現在でも有効な職人に関する世界最古の法律」があるのだ。1516年ドイツはバイエルン公のヴィルヘルム4世が定めた『ビール純粋令』がそれ。これには「ビールは、麦芽、ホップ、水、酵母のみを原料とする」と書かれている。

だから、例えば「キリン一番搾り」も「アサヒスーパードライ」も、ビール純粋令に照らせば「ビール」と呼んではいけない。では、本当のビールとは何かといえば、ブランドいえば「エビス」であり、サントリーの「モルツ」である。

あるいはドイツから輸入されるビールはたいていがそうである。ちなみに20代の頃は『ホルステイン』の小瓶一本槍だった。ところが15年ほど前に発泡酒なるものが登場し、これが安いがためにあっという間に市場に広がった。

これはダメである。はっきり言ってまずい。時に安い居酒屋などでは、この発泡酒を「ビール」と偽ってジョッキで出すところもあった。最悪である。景気が悪くなっても、収入が少々落ちてもビールはモルツの小瓶、これを貫いてきたのだが、さて。

去年だったか、たまたま『麦とホップ』(サッポロが出した新商品である)を手に取ってみた。何しろネーミングがすごいではないか。麦とホップと名乗るのであれば、これはビール純粋令に従っているぞと宣言しているようにも思える。もっとも分類上はれっきとした第三のビールなのだが。

缶にはきちんと原材料表示があり、そこには麦芽、ホップ、大麦とスピリッツ(大麦)を記されている。もちろん、これは純粋なビールではない。が味は良い。ビールの味がする。というわけで、遂に乗り換えることになってしまった。

というような経緯をたどっている人も結構いるのではないだろうか。そりゃ確かに、たまに本物のビールを飲むと「あ、やっぱり味が全然違う」とは思う。思うのだけれどほとんど倍以上の価格差がある。しかもビールといえば「とりあえず」の飲み物である。

安くて、良いものがあれば、そちらを選ぶのも無理のない話。技術の進歩はすごい、と感心すると同時にマーケティングの真理とは「良いものを、安く売ること」と喝破されたコトラー先生の言葉を改めて噛みしめる次第だ。