売上目標に思うこと

昨今の景況の悪化で、売上が減少している企業はたいへん多い。私が、最近、訪問させていただいた4社のうち3社がそうであった。

当然のことながら、3社とも経営者は今年度の売上目標を立てている。 1社目は、昨年度の月別売上(いわゆる昨対)が基準である。
しかし4月以降、達成率は60%と厳しい状況が続く。昨年度は、頑張って目標を達成した(つまり一昨年より業績が向上した)後だけに、今年度の昨対の目標値が重くのしかかる。客数の減少する夏場対策に必死である。

2社目は、各部門が調整して商品アイテムごとの売上目標(計画値)を立て、これを積算して全社の目標として出しているが、経営トップがこの目標を吊り上げるため、現場の担当者には、初めから目標達成に対する諦め感が漂っているという。

3社目は、昨年度の売上が7%減で留まったが、今年度はこの7%を取り戻すことを目標に掲げている。しかし、最大手の取引先から厳しい条件を提示され、営業の担当課長は、出張で商談がうまく行かなかったら西方向(大阪)に帰らず東方向に放浪したいと弱気になっている。

職場にITが導入され、結果の数値を分析したり、数値計画を立てたり比較したり・・・これらの作業はたいへんスピーディーかつ楽チンになった。計画を立てることも、修正することも、簡単にできる。カラーでグラフ化してインパクトを高めることもできる。

しかし、目標を社員全員が共有し、ひとりひとりが目標達成のために自分は何をすべきかを理解して日々の仕事に向かうことは、そう容易くはない。

まずは、経営者が自社の現状(実力)を見据え、あるべき方向性を示した上で、売上という数値目標を掲げることが必要だ。

一時的に売上が落ち込んでも、数年先に向けて、今は人材育成や経営基盤の強化、新事業の体制作りに投資する。そんな企業だってちゃんとある。

私の仕事も(報酬アップは期待薄だが)頑張り時だ。