大阪の教科書 大阪検定公式テキストを読んで

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大阪商工会議所からのFAXで、「なにわなんでも大阪検定」と称した受験案内が来た。最近、各地で「ご当地検定」が行われるようになったが、大阪でも行われるという。そして公式テキストとして、「創元社編集部編 橋本紳也監修 大阪の教科書」というのがあり、出題は主としてそこから出されるという。

この検定試験を私自身、今更受けるつもりはないが、歴史や文化といった書籍には大いに興味があるので、購入して通読してみた。なかなか良い本である。大阪人として、我々が住んでいる大阪のことについて広く知っておく必要がある常識的なことが網羅されていて大変勉強になる。

よく外国人とのコミュニケーションにおいて、日本人が外国人から信頼・尊敬されるには、外国のことよりも日本のことをまず知っておくことが必要であると言われるが、同様なことが日本国内において、他府県の人とのコミュニケーションについても言える。江戸時代、上方文化を生み出し、また、学問面でも、産業面でも日本の発展に大いに尽くした大阪の地盤が低下している折、郷土愛といっては大げさだが、大阪の真の姿を知らしめることが必要でないか。吉本興業のお笑いも必要だが、それだけが大阪だと思われるようなことは避けなければならない。

そういった意味で、この書籍の監修者・橋本紳也氏が、序言で、実に上手く次の様に述べられていることに大阪人として大変共鳴した。

・・・たとえばテレビのワイドショーやバラエティ番組をみれば良い。しばしば大阪人が、笑い者として晒される。この街で成功した人でさえ、自虐的に大阪をほめることが少なくない。それが「愛情の裏返し」であり、ユーモアの範疇であれば許せるが、度を過ぎると腹立たしくもなる。東京のメディアが求める典型的な大阪像、すなわち、お笑い・こなもの・阪神タイガースに象徴される大衆的で親しみやすい都市像を、私たち自ら増幅して来た。それも確かに大阪の一面だろう。41wgctev9bl__ss500_しかし大阪の個性は、より多様であるはずだ・・・・・・・

 

ということで、大阪の方にも、あるいは他府県の方にも、大阪の真の姿を知って頂くためにお薦めできる本である。教科書と聞いたとき、”堅苦しい”という反面、”わかりやすい”という響きがあると思うが、この本には堅苦しさを感じない。気楽に読める本である。また辞書的に、その都度、必要な時に読めるという利点もある。

さて、内容だが、大阪のことば、歴史、文化、経済などを含みながらも、食文化や街歩き、芸術・娯楽、スポーツ、等を網羅している。また巻末には「大阪」に関する参考文献があるの大変役に立つ。

因みに第一回の大阪検定試験は本年6月21日(日)に開催される。詳細は大阪商工会議所にお尋ね下さい。