第8回BMBインタビュー[安藤デザイン事務所]

安藤デザイン事務所

Webの効力を冷静に見極め、BMBによる積極的な情報発信を続けるデザイナー、安藤デザイン事務所 代表の安藤眞吾氏。
BMB事務局:安藤さんの最近のデザイン・プロデュースから話題提供していただけますか。

  安藤:今年、御堂筋近辺の有名インテリアショップと関西で活躍するプロのクリエーターを結ぶビジネスライクなネットワークとして、Best Design Osaka【ベストデザイン大阪】代表:清家淳一(以下BDO)」を4月に立ち上げました。
BEST DESIGN OSAKA
 BDOは、ベストデザイン有限責任事業組合に加盟するインテリアショップ(8社)で構成されていまして、主たる目的はショップへの理解力の促進(いわゆる親派をつくる)です。業界横断的でプロが参加できるクローズドな、しかも、既存のデザイン団体ではなかなかできない、緩やかなつながりを目指しています。

11月時点での登録会員は約800名ですが、理想的なバランスになっています(内訳:インテリアデザイナー30%、インテリアコーディネーター40%、建築家30%)。

関西の「インテリアビジネスの活性化」や「クリエーターのポテンシャル向上」のために、国内外の最新インテリアデザイン情報や新作家具の発表会をセミナーやパーティー形式で行っています。

また、「BDOクリエーターアワード」を設け、関西で活躍するクリエーターの優れた活動成果を表彰し、関西のインテリアデザインの質的向上を図っています。

近々、BDOの中にインテリアコーディネーターのための新組織「ベストデザインインテリアコーディネーターズ(BEDIC)」も立ち上げます。実はインテリアコーディネーターのためのまとまった組織というものは今までなかったので、コーディネーターが受注できるような仕組みに持っていくつもりです。

大阪では過去にインテリアデザインのイベントがありましたが、デザイナー主導で失敗しています。私の場合は、中・長期の目標を立ててビジネスモデルを起こしますが、そういう例を見てきて2年がかりでBDOの仕組みを作りました。その答えはメーカーやショップの目的を優先させることと業界のタテ割りの構造を崩すことでした。インテリアショップ単独ではできないことでも、仕組み次第ではデザイナーが介在して仕掛けていくことができます。やはり、デザイン・プロデュースというのは業界全体を俯瞰して物事を眺めたり考えたりする能力が問われます。自分が出すぎないということも肝心です。

BDOに加盟するある会社の会長さんの言葉ですが、東京は「カオス」なんです。ですから短期でBDOみたいな仕組みは成し得ないわけです。反対に大阪は「シンプル」なんです。直接的でビジネスの構造が分かりやすい。それが関西らしさじゃないでしょうか。


BMB事務局:ところで、BMB会員の「まころ企画」さんと業務提携(パートナーシップ)を結んでおられますね。
Globe style
  安藤:私のクライアントでキッチンの輸入販売を営む会社があり、ホームページのリニューアルの話が持ち上がりました。営業マンが商品紹介もできるようにとブログ機能を内包したサイトを立ち上げたいと思っていた時期に、偶然BMBのオフ会に参加されていたまころ企画の牧田さんと知り合いになりました。

ホームページと無料ブログのデザインテイストに統一感を持たせられるという、優れたスキルを持った方で、こちらの意図しているサイトを手際よく作っていただくことができましたので、長期的な視点に立って業務提携を結ばせていただきました。

サイトの企画・デザインを私の事務所が、制作をまころ企画さんが受け持つというかたちで完成させましたが、BMBのおかげでいいパートナーにめぐり合えたと感謝しています。


BMB事務局:安藤さんは、ほぼ毎日ブログを更新されていますが、継続のコツとポリシーをお聞かせ願いますか。
安藤氏
  安藤:ブログに起承転結があるとすれば、起承・・・までぐらいしか書かないです。押し付けがましいのや、ダラダラと長いのはいやですから。だから自分が読みたくないブログは絶対書きません。あと、個人的なことは書きません。文体は「ですます調」にします。いかに自分を客観的に見るか、表現できるかということだと思います。

昔はデザインネタを拾おうとしていましたが、これは長続きしません。ネタ探しは正直しんどいです。だから、最近は自分が関わっているデザインの話題だけを書くようにしています。

これは理にかなった方法なんです。よくブログが炎上したとか聞きますよね(事務局注:BMBは外部からの書き込みができないので炎上はしません)。ブログにはコメントを寄せないけど結構見ているという沈黙のリピーターがいてモニタリングしているんです。だから主義主張が一貫してないなど、ちょっとしたきっかけで非難が出た場合、私も私もという具合に溜めていたものが吐き出されて雪崩現象が起こるんです。

そういう類いの内容がブログとして適切かどうかですよね。私は避けています。


BMB事務局:ご自身のブログを冷静に見ておられますが、ブログの目に見える効果はいかがでしょう。

安藤:直接的にビジネスに結びつくということはありませんが、人的ネットワークは増えましたね。この前は東京で私のブログ「アンドウ的デザイン考」の読者と楽しくオフ会を行いました。

目先の利益だけにとらわれているとブログは非効率だと感じるかもしれませんが、これも長期的な視点に立っています。私は、インテリアデザイン事務所の代表ですが、社団法人日本インテリアデザイナー協会関西事業支部の役員や京都精華大学デザイン学部の教授も務めています。学生も「先生、ブログ見てるよ!」なんて言ってくれますし、こうやってボランティア的にいろいろな分野の人とつながりを作っていくことが関西のデザイン界を活性化していくことだと思っています。そういう意味では、デザイン・プロデュースも同様じゃないでしょうか。

BMB事務局:経営者ブログのあり方について、BMB会員の皆様にも非常に参考になる意見が聞けたと思います。本日はどうもありがとうございました。

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