ものづくり企業訪問「株式会社 サクラクレパス」

 ものづくり支援課からお届けする、ものづくり企業訪問記事第6弾は、クレヨンの使いやすさとパステルの美しい発色を兼ね備えたクレパスを開発し、近年では総合文具メーカーとして、最先端のオフィス機器・用具から一般的な事務用品にいたるまで、多種多彩な商品を製造・販売している株式会社サクラクレパス中央研究所の井上さんと山本さんにお話を伺いました。 クレパス画像■社名はクレパス、実はクレパス以外も技術から自社ブランド
 会社名にあるようにサクラクレパスをはじめとした絵画用品以外にも、ボールペンやシャープペンシルといった筆記具、書道用具や学習帳といった学用品、事務用品などを扱っています。それぞれの製品で、別々のメーカーと競合になりますし、それぞれの製品を製造するための技術が全く違うのです。製品というか、部品によって製造するための技術が違います。その技術は、全て自社で開発して生産しています。




■同じ筆記具でも技術的な差別化で付加価値を追求
水性ボールペンと油性ボールペンの両方の特徴を併せ持った、ゲルインキボールペンを世界で最初に開発したのがサクラクレパスです。また、業界に先駆けて顔料インキを開発することにより、優れた耐水性を実現しました。水に濡れてしまっても、染料インキと違って滲むこともありません。他にも、絵の具の開発で培った技術があるので、カラーバリエーションが豊富なことも特徴です。
鉛チューブ絵の具画像 ポリチューブ絵の具画像ラミネートチューブ絵の具画像

■こどもたちのために鉛撤廃宣言!
以前は、絵の具のチューブには鉛が使用されていました。しかし、鉛は有毒であるため、市場にある鉛チューブの絵の具を全て回収しました。小売店に何十年も前からあるような在庫も回収し、本当にすごい量の絵の具を回収しました。
そして、1995年、業界にさきがけて「ポリチューブ宣言」、「ラミネートチューブ宣言」を行い、鉛チューブを全廃し、ポリチューブやラミネートチューブに切り替えました。また、切り替えたため、絵の具の充填方法も変わり、今までの生産ラインを新しくする必要もでてきました。とても苦労しましたが、その甲斐あって、こどもたちに安全性が高く安心して使える絵の具を提供できています。

■厳しい安全基準
 インクや絵の具の安全基準はとっても厳しいのです。それは、店頭に製品が並びますし、こどもが手にする機会が多いからです。もし、誤って口にしても大丈夫なように、日本よりも基準が厳しい米国の画材安全基準値以下しか含まれていません。
 他にも、ペンのキャップで小さいものには、通気孔を設けないといけないのです。日本では少ないのですが、欧米ではペンのキャップを口で開ける習慣があるみたいで、喉に詰めても窒息しないようになっているのです。
 品質はもちろんのこと、安全への配慮もメーカーの責任として欠くことはできません。

【企業概要】
企業名   株式会社 サクラクレパス
代表者名 代表取締役社長 西村 貞一
所在地   〒540-8508 大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目6番20号
設立    大正21年5月29日
事業内容 描画材料 クレヨン、クレパス、水彩絵具、アクリル絵具、画筆
              クーピーペンシル、色鉛筆、水彩セット
       筆記具   水性ボールペン、油性ボールペン、シャープペンシル
              水性マーカー、油性マーカー、工業用マーカー
       その他   墨液、そろばん、ファイル、ホワイトボード、消しゴム、
              レーザーポインタ、フォトフレーム、熱変色TCカラー、
              医療器具用滅菌インジケーター など
TEL   06-6910-8800(代表)
FAX   06-6910-8723
URL   http://www.craypas.com/

【記事担当】
大阪府商工労働部商工振興室ものづくり支援課
製造業振興グループ 松原