知的財産の基礎知識(3)

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第3回からしばらくは、工業デザイナーの方も多いようですので、意匠法を簡単に要点だけ説明して行きたいと思います。

第3回「意匠法の保護対象」

 今回は、意匠法の保護対象について説明したいと思います。

(1)意匠法の保護対象である「意匠」とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの」と規定されています。したがって、この「意匠」に含まれるものでなければ意匠権の取得はできません。

もう少し簡単に言えば、「意匠」には、商取引されている製品の形状等であって原則として人間の目で見てその形状などが解るものが含まれます。例えば、机の形状、椅子の形状、自動車の全体形状などが含まれます。

したがって、単なる抽象的なモチーフだけでは意匠法による保護を受けることができません。意匠法の保護を受けるためには、有形的な物品の形状などであることが必要です。

この「物品」とは、商取引の対象となる動産であることが必要であり、土地や建物のような不動産は含まれません。例えば、建て売りの建物は不動産ですので、どんなに斬新なデザインでも「意匠」には該当しません。但し、最近はやりの組立家屋のように動産的な対応で商取引されるものは「意匠」に該当し、実際にいろいろな形状の組立家屋について意匠権が取得されています。

 

(2)また、物品の形状などであれば、その物品の部分の形状などについても、部分意匠として意匠法の保護を受けることができます。例えば、コップの取手部分、椅子の背もたれ部分、タンスの引出の前面部分などの物品の部分の形状について意匠法の保護を受けることができます。

 その他にも、例えば、携帯電話の操作画面やDVDプレーヤーを操作するためのディスブレイ装置(例えば、テレビ受像器)に映し出される操作画面も意匠法の保護を受けることが可能です。

 但し、テレビゲームの一画面やホームページのトップページについては意匠法の保護を受けることはできません。

 
弁理士 垣木 晴彦