グーグル名誉会長  村上憲郎氏のセミナー

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先週の土曜日、枚方で、Google名誉会長の村上憲郎氏のセミナーがありました。

グーグル講演

 

 

 

Googleが何を目指し、新たなる10年に何をしようとしているのか? その果てしない夢物語の続きを今、ここに明らかにする!」というテーマで3時間たっぷり聞かせて戴きました。

今後のGoogleのターゲットは、米国で進んでいる「スマートグリッド」と呼ばれる新しい電力システムとの連携で、これはかなり意外であった。

中でも、スマートメーター、スマートハウス、スマートカーという3つが特に重要であるとの事。

グーグル村上名誉会長

 

 

 

 

 

 

 

 

質疑応答では以下のようなQ&Aがあった。

Q1:何故、英語の勉強の本を書かれたのですか?

A:日本人の英語能力は世界的に劣っており、ゆゆしき問題である。米国のIT会社が全世界から有力な顧客(学者・研究者)を招いて会議、イベントを開催するが、いまだに同時通訳のヘッドフォンをしているのは日本人だけ。韓国も英語教育には熱心で、子女を米国(上流)、豪州(中流)、フィリピン(その他)の国に英語留学させている。この本は、日本の学生がGoogleに入社する前のテキストとしても活用している。

 

Q2:Google,Microfost,Yahoo,Appleなどアメリカ発のベンチャー企業が多く、日本にそれがないのは何故ですか?

A:日本にないだけでなく、韓国にもない。ヨーロッパにもない。アメリカ、しかもシリコンバレーにしかない。理由ははっきりとは分かりません・・・ 敢えて言うと、スタンフォード大学や、UCバークレーなどの有名な大学がある事、そして、ベンチャーキャピタルが充実している事、労働流動性がある事などでしょうか?

 

Q3:Googleの社風は日本のIT企業などとどう違いますか?

A:「20%ルール」といって自分の時間の中の20%は好きな研究に費やしても良い。但し、1年間で目標を立てて、3か月ごとに周囲や直属の上司からの評価を受ける。Googleの新商品やサービスのアイデアのほとんどはこの20%ルールの中から生まれてきた。もともとスタンフォード大学の博士過程であった2人の学生が創業した会社であり、キャンパスのような雰囲気の会社を作ったのが出発点である。

 

Q4:Google社員はどのような基準で選んでいますか?

A:「エアポートテスト」といって、同僚が面接する際に、「空港が閉鎖されたときに一晩一緒に過ごす仲間として楽しいか?」という観点で選ぶ。「わきあいあい」、「楽しく仕事ができる」、「陽気な人」を選ぶ。 と同時に、めちゃくちゃ頭も良い人であることが大前提。 ちなみに、村上氏が日本のコンピューターサイエンス学会などに行くと、教授連中から「日本のCS学会をつぶす気ですか?」と冗談まじりで言われるほど、優秀な博士課程の学生が大学に残らずにGoogleに入社するらしい。「論文が上手に書ける(だけの?)学生は残していますから大丈夫でしょう!」と教授に返答されるとのこと・・・・。

 

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ネジザウルス・タカサキ的考え

Q1の英会話能力については、2006年から大学入試センターで英語リスニングのテストが始まったらしいが、これらの学生がそろそろ社会人になる時期です。はたして、その効果がどのように出ているのか、しっかりと見極めてほしい。私自身の経験では、コミュニケーションの基本というか、出発点はリスニングであると思っています。東大、京大などの試験ではさらに英語リスニングの配点の比重を高めても良いのではないかと思う。

Q2のシリコンバレーにITベンチャー成功企業が集中している理由・・・その一つに温暖で過ごしやすい気候があるのではないかと思う。東海岸のTroy,NYではGEが生まれ、デトロイトでは車産業が生まれた。いずれも冬は厳しい豪雪地帯。大規模な工場建屋のなかで、空調完備の快適な職場を提供することで優秀な労働者が集まる。 一方、IT産業はパソコン一つで起業できるし、アイデア一つで大きく成長できる。TシャツとGパンで一年中夢をかたれる大学街の雰囲気・・・それがシリコンバレーを生んだ一つの要因ではないだろうか?

日本でも、北海道から九州まで世界レベルの大学が多数存在するが、それぞれの地域・文化の特性とうまく融合した産業を創出することが重要ではないだろうか? 例えば、京都大学の周辺では、喫茶店や居酒屋?で理論物理学の研究者のたまり場のようなところがあって、仕事のあとでも、学究的な議論ができる雰囲気があるという話も聞く。歴史と伝統のある古都と、ミクロ・マクロの世界は融合する何かを持っていそうな気もする。

どこを切っても金太郎飴のような産業育成ではなく、地域の特性、実情にベストマッチした「地場ベンチャー産業」が日本各地に群生してゆけばと期待します。

さて、我が大阪ではどんな産業が「強み」を発揮できるでしょうか?