投資コストゼロの新規事業

今日のマーケティングブログは、
既存の自社チャネルを使った新しいビジネス展開について。
せっかく構築した顧客接点をうまく活用することで、
トリプルWinとなる新しいビジネスを開発できる可能性があります。

年間4000万円の新しい利益

初期投資は、ほとんどゼロ。コストもほぼゼロでありながら、年間売上がざっと4000万円。ということは営業利益も4000万円。

そんなうまい新規事業が、世の中にはある。フィットネスクラブ「カーブス」が始めた、新商品のサンプリングである。

同社は「食品メーカーや広告会社に働き掛け、2012年は前年比5割多い80万個分の(サンプリング)受託を目指す。中高年を中心に約43万人の会員と接している強みを生かし、収益拡大と会員の満足度向上につなげる(日経MJ新聞2012年4月23日付9面)」。

実にうまいやり方だ。

まずカーブスは、自社ビジネスのSTPが極めて明確である。
Segment:フィットネス>小型>スイミングなし>30分限定
Target:女性>40歳以上>健康・美容関心度高い
Positionig:ご近所感覚=手軽・誰でも・いつでも・予約不要

「会員の平均年齢は54.8歳で、40歳位以上が9割近くを占める。健康や美容への関心が強い女性に数十万人規模で直接サンプリングできるチャネルは限られており、受託が伸びる余地は大きいと見ている(前掲紙)」

自社のSTPが明確であれば、チャネルは有効活用できる可能性が高い。カーブスモデルのポイントは、顧客にとっても「うれしい」情報であり、サンプリングとなることだ。美容と健康のためにカーブスに通っている女性にとって、美容と健康に役立つ商品をもらえることは、大きなメリットとなる。

これぞまさにトリプルWinモデルである。

BtoBでも似たようなモデルがある。レンタルおしぼりの配達・回収を手がける「藤波タオルサービス」が、「食品メーカーに代わって顧客である飲食店に製品の広告活動をするサービス(日経MJ新聞2012年4月18日付15面)」がある。

このモデルもトリプルWinとなる可能性がある。飲食店のオーナーは、基本的にとても忙しい。仕入れをして、仕込みをして、開店準備をして、スタッフの面倒を見て………と、やるべきこと山ほどある。心あるオーナーであれば、少しでも良いものをお客様に出して、よりたくさんのファンを作りたいと願っているはずだ。が、情報を集める時間がない。

そこで、毎日やってくるおしぼりの集配サービスが、ついでにいろいろな情報を持ってきてくれれば、それは参考になるだろう。が、このモデルは、相手がエンドユーザーではないだけに、もう一工夫すれば、より飲食店に役立つサービスに化ける可能性がある。

いずれにしても、自社のチャネルを『特定顧客との接点』と見なせば、新しいビジネスが見えてくる可能性があるはずだ。



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