「儲かるしくみ」を考える

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儲かるしくみの基本を、下記の2点と説くワタミ社長のコラムに刺激を受けました。
・売上に対して20%の利益が出る構造になっているかどうか。
・年間の売上に対して半分の投資で済むかどうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120127/226583/

成功した事業家らしい明快な基準だと思います。今回はこのコラムから展開して、「儲かるしくみ」を考えます。
officeair

「儲かるしくみ」を作るには、下記の1~5について考える必要があります。

1.誰が顧客かを考える。
2.商品が顧客に提供できる便益をはっきりさせる。
3.顧客に提供できる便益に対して、妥当な価格を設定する。
4.見込顧客数から、売上金額を予測する。
5.予測の売上金額で、事業を成立させられる費用構造と投資金額を考える。

1.誰が顧客かを考える
想定する顧客像を明らかにします。顧客像とは、必ずしも、性別や年齢層を意味しません。消費者の消費マインドは、価値観や志向によって、細分化されている上、一消費者が、消費シーンによって、使い分けている場合もあるためです。
想定顧客は、いつ、どこで、どのような場面で、なぜ、この商品を使用するのか。想定顧客を、商品を使用する場面や、マインドで特定するアプローチが有効です。
また、想定する顧客(市場)は、自社の対象として十分な規模が存在するのか、成長市場であるかについても確認しておきます。

2.商品が顧客に提供できる便益をはっきりさせる
顧客は「いい商品」だから購入するのではありません。商品の購入によって、自分にメリットがもたらされるから、または、商品が自分の悩みや困りごとを解消してくれるから、購入するのです。
企業は、「いい商品」だから売れると考えがちですが、消費者の立場に立って考えると、よくわかります。いくら「いいもの」であっても、欲しくないものは、欲しくないですよね。

3.顧客に提供できる便益に対して、妥当な価格を設定する
顧客は、商品の購入を通じて得られる価値と支払う費用を天秤に乗せて、購買の決定を行っています。原価に利益を乗せた販売価格設定によって、顧客が妥当と感じる価格にならない場合には、期待した売上は見込めないでしょう。

4.見込顧客数から、売上金額を予測する
商圏人口のうち何パーセントが見込顧客かなどによって、まず、見込顧客数を考えます。見込顧客数の購入する購買頻度を考えて、販売数量を予測します。販売数量の予測ができると、販売数量に販売価格をかけあわせて、売上金額を予測します。

5.予測の売上金額で、事業を成立させられる費用構造と投資金額を考える
販売数量と販売価格から算出した、予測売上金額をもとに、この売上金額で利益を生む費用構造が可能か、投資金額の回収が可能かを考えます。ワタミ社長の「儲かるしくみの基本」とは、この項目について基準値を明らかにしたものです。
ここで自社の強みを活かして、この事業から利益を生み出し、投資金額を回収できる仕組みを作ることができれば、他社との競争に優位に立つことができます。自社の設備、仕入ルート、人材、ノウハウなど、保有する強みをいかに活用できるかがポイントです。(逆に、ここで、事業を成立させられる仕組みができなければ、事業を立ち上げても、失敗に終わる可能性が高いと言えます)

よくある失敗例として、アイデアに夢中になり、作ってしまってから、売り先や売り方を考えるというパターンがあります。こうした方法では、事業の立ち上げ後に、収益を上げ、投資金額を回収することは難しいでしょう。

確かに、顧客の想定や販売数量の予測には、不確実な面が多く、事前の想定に時間を費やすことが無駄に感じられる場合もあるかもしれません。そうした場合には、テストマーケティングを実施して、できるだけ早期に不確実性を減らしておくことも必要です。

マーケティングとは、販売を不要にすること」と言います。「不要」は言い過ぎにしても、作った後で、無理やりに「売る」ことを考えるのではなく、「売れる」しくみを作ることに、製品づくりと同じくらい注力すれば、事業を立ち上げて、収益を上げるための道筋はもっと確かなものになります。