Google社のダイバーシティ戦略

  • 投稿者:  
  • 表示回数 2,425
年末にあたって、今年参加したイベントの中で、ぜひこれだけはご紹介させていただきたい。

11月5日東京の女性診断士の会”Ami”の設立20周年記念シンポジウム&パーティ「Ami for the NEXT!」に参加してきた。(http://www.cs-office.co.jp/ami/

シンポジウムの第1部は、「女性力を活かす! グローバル水準の働き方に学ぶ」 というテーマで、
グーグル社の新規事業開発アジア太平洋地域統括本部長マスミ・オオサキ・ラインダーズ (Masumi Osaki Reynders) 氏の基調講演。 第2部は、「女性診断士 ~明日に向かう夢~」と題して、新旧の女性診断士によるパネルディスカッション。
私は、大阪の女性診断士代表(ピザの会代表)として、パネリスト5人のひとりとして、ご招待いただいたわけである。パネリストのうち私を含めたベテランの部3名は、1995年阪神大震災の翌月に、「企業診断」という雑誌の女性診断士の座談会にも招待いただいたメンバーで、今年、東日本大震災の年に再開したのも、何かの縁であろう。

さて、ご紹介したいのは、第1部の講演。(日が経っているので、記憶が定かでない部分はご容赦を…)
マスミさんは、自ら「自分はアメリカ人」とおっしゃるアメリカで生まれ育った女性で、日本語には自信がないと言いながら、日米両方の大学で法学を勉強された法律の専門家である。また、プライベートでは、幼い2人の子どもを持つワーキングマザーでもある。
プロフィールを聞いて、どんなバリバリのキャリアウーマンが現れるかと思いきや、登場したのは、夫が選んでくれたというオレンジ基調の素敵なニットドレスのスレンダーな30代半ばくらいの女性。

黙っていたら、グーグルのアジア太平洋地域統括本部長だとは、恐らく想像できないだろう。

自信がないという日本語で、ひとつひとつ慎重に言葉を選びながら、グーグル社のダイバーシティ戦略について、公開可能な範囲でと断りながら、きちんとしたデータも示しつつ話してくださった。

その彼女の言葉で一番印象的だったこと、感動したことは、
「いい商品・サービスを提供するためには、世界中に国籍・人種・宗教・性別・年齢・・・多様なグーグルユーザがいるのと同じ比率で、グーグル社内に多様な人材が活躍する場を設ける必要があるというのが、グーグル社の考え方である。」
とおっしゃった言葉である。
日本の企業には、顧客の多くが女性であるにも関わらず、男性ばかりが商品開発に当たっているようなところも、未だあるというのに比べると、ずい分と隔たりがある。

ダイバーシティとは、単にマイノリティに配慮するというような考え方ではなく、「多様性をあるがままに受け容れること(受容)である」ということが、ごく自然に戦略に組み込まれている。なんと素晴らしいグローバル企業戦略!

一年の終わりに当たって、ブログを読んでくださる皆さんと、ぜひこのことを共有したかった。

ほんとに、納得できた講演だった。


変わって、第2部のパネルディスカッションでは、事前の打合せもほとんどなく、夜中にメールで意見交換しただけのぶっつけ本番だった。さらに、結局、私はいつものように、準備したストーリーをその場でかなりアレンジしてしまったのだが、会場の方々には、ある程度思いを伝えられたように感じていた。実は、マスミさんが、前列で大きく頷いてくださったことがすごく励みになっていたのである。
シンポジウム終了後のパーティでは、マスミさんは多くの方々に囲まれ和やかに楽しんでおられたので、控え室で少しお話ししていた私は遠慮していたのだが、パーティーの終了間際に彼女が私のところにきて、「北口さん」と呼びかけた。

「北口さんが、パネルディスカッションで言っていたことは、たいへん重要だと思います。私も同じ考えです。グーグルも実際には講演で紹介したようには、なかなかうまく行きません。でも、あきらめずにお互い頑張りましょう!」と握手を求められた。

北口さんが言っていたことというのは、「女性は結婚もする、子どもも産む。そして仕事もする。生身の人間としてあるがままに働ける世の中でありたい。」・・・恐らく、この辺りのことだったろう。

グーグル社のキャリア女性と、思いを共有できたこと。私にとって、今年の大きな収穫である。

嬉しかったこととして、最後に少し付け加えました。


では、皆さま、来年がどうぞ良い年でありませすように!