古い応接間にはなぜ木彫りの熊がいるの?

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ふとしたことがきっかけで、木彫りの熊が気になりました。昔、応接間なんかで見かけた、鮭を口にくわえた熊の置物です。あの熊はどこから来て、どうやって応接間の置物の定番の地位を獲得したのでしょうか。 officeair

「木彫りの熊のルーツはスイス。発祥の地は、北海道山越郡八雲町。1921年、八雲に入植し、開拓を推進していた徳川義親が旅行先のスイスで、熊の木彫りに興味を引かれ、いくつかを持ち帰る。同氏は冬期の収入源として、同様の木彫りの製作を提案。同地でヒグマの木彫りが彫られるようになった。

木彫りの熊の製作は、その後、アイヌ民族が多く住んでいた旭川方面にも広まっていった。アイヌの人々は、ヒグマを山を守る神として、崇めており、ヒグマのことを熟知していた。彼等の作る木彫りの熊には真実味と迫力があった。そしてその一つに鮭をくわえた例のタイプがあった。

昭和40年代に北海道の観光ブームが始まり、鮭をくわえた木彫りの熊は、その迫力ある姿から、観光客の注目を浴びるようになった。こうして、北海道土産としての、口に鮭をくわえた『木彫りの熊』が定着した。」

こうやってストーリーを見ると、ヒット商品が生まれ、定番商品として定着していくに必要な要素がきちんと含まれていることがわかります。

○ スイスで木彫りの熊に着目 → 違う市場でアイデア収集
○ 冬期の収入源として、熊の木彫りの製作を提案 → 自社の環境分析(ヒグマという地域資源の活用)から商品コンセプトを立案
○ アイヌの人々のヒグマの造形力 → コア・コンピテンスにもとづく卓越した商品力
○ 北海道の観光ブーム → 外部環境のチャンスに適合してヒットした。

マーケティングの参考になるお話ですね。