ラックなたたずまい《例・転倒防止工事》

キャビネットやラックなどの転倒防止工事の事例です。


以前にも紹介しましたが事務所や倉庫、工場など場所を問わずに施工しなければならないのが転倒防止工事。
別名「耐震工事」とも呼びます。

東日本大震災で地震対策が俄に叫ばれ始めていますが、ある意味、阪神大震災の教訓があまり活かされていなかった証拠なのかもわかりません。

実際のところ、家具の転倒防止についてきっちりとした指針を明記している工事手順や公的な機関が発行しているガイドブックなどはほとんどありません。

東京都防災ホームページが最もしっかりとしたアドバイスを掲載していますが、それでも具体的にどのようなサイズのアンカーや金具を使えば良いのかや、固定する相手の壁や床の材質の記述については十分とは言えないというのが実情でしょうか。



今回の震災以降、当社にもラックを中心にした家具に対する地震対策の問い合わせが増しています。
写真は阪神大震災の半年ほど後に施工した準公共施設の耐震工事事例ですが、当時も今と変わらず、どの家具にどのような施工が適切なのか、なかなかわからないままの施工でした。
ほとんどがオーバースペックな施工や家具の配置の関係で理想的な転倒防止を施せず、創意工夫の必要なものがほとんどだったと記憶します。



ちなみにちゃんとした転倒防止は強度計算をすると設計することができます。
壁や床の材質。
家具、つまり什器の重量。
金具の種類、アンカーボルトの種類やサイズ。
転倒防止をとりつける位置などなど。
情報がきっちりとわかると対策をとることも可能です。

転倒防止にかかる強度計算は危険物を収納する際には消防署の防災課などに提出しなければならない資料のひとつですが、これが既存のものへの施工となると、かなり難易度が高くなるというのも現実です。