水素ぜい化除去処理

 鉄が酸に溶解する状況水素ぜい(脆)化とは、ばねのように高強度に熱処理された製品や、強度の加工を加えられたものに防食の目的でめっきや化成処理等を行う時、前処理としての酸洗いや、めっき(電気めっき)の陰極効果で発生する水素の影響で脆くなる現象をことです。
(左図参照)水素原子の大きさは、ばねに使われる鉄鋼材料の結晶の間隙に比べて小さいため、容易に内部に侵入することができる。このようにして侵入した水素原子は、ばねの中に力の集中する部分に向かって移動し、水素原子2個が水素分子となるときに体積が10倍になると言われています。

この時に破壊が起こるので、ばねの応力と水素の吸蔵量との関係が探いとされています、このような現象を遅れ破壊と言い、めっき等の処理後直ぐに発生するというものではないです。

一般に化成処理によって吸蔵された水素は、その被膜にピンホールがあるので24時間以上放置すると自然に放出されて影響は少なくなるけれども、電気めっき等は、被膜が緻密であるため自然放出が起こることは殆ど無く、ベーキングによって水素を強制的に放出させることが必要です。

一般的に亜鉛めっきの場合、めっき処理後4時間以内に180~200℃で4時間程度の設定温度が必要です。
クロメート処理は、150℃以上の加熱でその効果を無くすのでベーキング後行うことが必要とされています。他の化成処理を行ったものもできれば、120℃で1時間程度のベーキングを施すとよいとされています。