6月14日の数字:1品番2社調達制

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仁義なき戦いが始まっている。
中国の自動車メーカーが部品調達に使っているやり方が
デファクトとなったときに、どう対抗すればいいでしょうか?

3C分析
Competitor:中国がデファクトになる時代

『半値八掛けの世界』。ある自動車パーツメーカー・トップの言葉だ。インタビューに答える中で飛び出してきたキーワードが、頭を離れない。自動車メーカーが中国生産にシフトしたら、日本のパーツメーカーは半値八掛けの世界で戦わなければならないのだと。

生産地は何も中国に限ったわけではない。日産は、マーチの国内生産をやめるという。人気車マーチの生産そのものをやめてしまうのではない。国内生産をやめ、インドで生産するのだ。

中国は昨年、自動車販売台数が世界一となった。チャイナクロスが起こり、米国を抜いた。販売台数の成長曲線を見る限りは、2000万台到達まで、それほど時間はかからないだろう。巨大な自動車マーケットが、そこにある。

成長期真っ盛りのマーケットとあれば、マーケットライフサイクルの原則として価格競争が熾烈化する。いかにシェアを獲得するかが、競争のポイントとなるからだ。すなわちパーツ調達コストも、徹底的に叩かれることになる。半値八掛けの世界である。

しかも中国の完成車メーカーは、さらにえげつないことをしているようだ。それが「1品番2社調達制(日経産業新聞2010年5月11日付12面)」である。これがどういうカラクリになっているか。

「ある1社の部品メーカーと先ず、共同の部品開発を進める。図面が仕上がり、品質も上がっていよいよ量産段階に入る直前までくると、完成者メーカーはすかさず、共同開発先とは全く別の部品メーカーに「うちの部品を作らないか」と、はなしをもちかけるのだ(前掲紙)」

すごいですね。しかも共同開発した部品メーカーからはあらかじめ決めた価格で仕入れるが、仕入れる量は絞る。代わりに声をかけたメーカーには、半分の仕入れ価格を提示する。

そんなやり方で仕入れたパーツは、安かろう・悪かろうの典型ではない、のである。もはや中国の技術力は平均レベルで底上げされている。売上がすべてを癒すというセリフがあったが、量がすべてを癒すのが、中国の現状だろう。

そこで戦わざるを得ない日本メーカーもいる。どう戦うのかが、厳しく問われる事業環境になっている。