HULSCOPE / ハルスコープ
6月14日の数字:1品番2社調達制
- 2010/06/14 06:00
- 投稿者: takebayashi
- 表示回数 1,695
仁義なき戦いが始まっている。
中国の自動車メーカーが部品調達に使っているやり方が
デファクトとなったときに、どう対抗すればいいでしょうか?
3C分析
Competitor:中国がデファクトになる時代
『半値八掛けの世界』。ある自動車パーツメーカー・トップの言葉だ。インタビューに答える中で飛び出してきたキーワードが、頭を離れない。自動車メーカーが中国生産にシフトしたら、日本のパーツメーカーは半値八掛けの世界で戦わなければならないのだと。
生産地は何も中国に限ったわけではない。日産は、マーチの国内生産をやめるという。人気車マーチの生産そのものをやめてしまうのではない。国内生産をやめ、インドで生産するのだ。
中国は昨年、自動車販売台数が世界一となった。チャイナクロスが起こり、米国を抜いた。販売台数の成長曲線を見る限りは、2000万台到達まで、それほど時間はかからないだろう。巨大な自動車マーケットが、そこにある。
成長期真っ盛りのマーケットとあれば、マーケットライフサイクルの原則として価格競争が熾烈化する。いかにシェアを獲得するかが、競争のポイントとなるからだ。すなわちパーツ調達コストも、徹底的に叩かれることになる。半値八掛けの世界である。
しかも中国の完成車メーカーは、さらにえげつないことをしているようだ。それが「1品番2社調達制(日経産業新聞2010年5月11日付12面)」である。これがどういうカラクリになっているか。
「ある1社の部品メーカーと先ず、共同の部品開発を進める。図面が仕上がり、品質も上がっていよいよ量産段階に入る直前までくると、完成者メーカーはすかさず、共同開発先とは全く別の部品メーカーに「うちの部品を作らないか」と、はなしをもちかけるのだ(前掲紙)」
すごいですね。しかも共同開発した部品メーカーからはあらかじめ決めた価格で仕入れるが、仕入れる量は絞る。代わりに声をかけたメーカーには、半分の仕入れ価格を提示する。
そんなやり方で仕入れたパーツは、安かろう・悪かろうの典型ではない、のである。もはや中国の技術力は平均レベルで底上げされている。売上がすべてを癒すというセリフがあったが、量がすべてを癒すのが、中国の現状だろう。
そこで戦わざるを得ない日本メーカーもいる。どう戦うのかが、厳しく問われる事業環境になっている。