勘と技能

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暗黙知と形式知がある。15年、20年と同じ仕事をしてくると、どんな仕事でも熟練の勘が働く。

昔、マッチ工場を見学した時に、工場の空き地にゴザを敷いた中央にマッチ棒が山に盛られたその周りに、おばあさん3人がちょこんと座ってマッチ棒を箱に詰める作業をしていた。左手にマッチ箱を持ち右手でマッチ棒の山から箱に詰めるマッチ棒を取り箱に詰める。実にリズミカルで自然な姿があった。力みもなく、無駄話をするでなく、かといって緊張している雰囲気でもない。いたってのんびりとした自然な形であった。

握られたマッチ棒は、頭(発火する燐の塊が付いている方)は指と掌の中で自然に方向が揃っていく。マッチ棒の山から一握り掴んで箱に入れるまでの時間は、45秒であったと思う。本数を数えている様子もない。

案内人に聞くと、一箱に83本入っているという。どの箱も83本だというのである。実際に出来上がった箱の一つを取って、数えてくれた。確かに83本入りであった。

先日、すし職人が握りの米粒の数が一定数に握る技をTVで放映していたが、何個か握ったにぎり鮨の米粒の数は同じであった。これも素晴らしい技であった。

 

世の中は、勘で仕事をしてはいけない!ということを言われるが、私は熟練した者や、名人、カリスマと言われる人は、暗黙知で、勘で仕事をすればよいと考えてきた。勘の働かない人や経験の浅い人がやるべきではないが、熟練した人は素晴らしい勘を持っているので使わなきゃMOTTAINAIのである。

友電舎のめっきは形式知と暗黙知の双方が優れなければ、革新的なものは生まれてこないのである。決してお客様にご迷惑をかけない勘、これが素晴らしい暗黙知といえる。