5月12日の数字:理数教育、4割が疑問

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科学的センスこそが、日本の製造業の基盤。
揺らぎつつある、この基盤を固め治すために
企業は何ができるでしょうか。

PEST分析→科学技術の将来のために

戦後の日本の経済発展を支えた要素は、大きく三つあると思う。一つは日本人ならではの勤勉さである。根がまじめで、仕事に対しては一生懸命に取り組む。今では「ほんとに?」と思わざるを得ない面もあるとはいえ、勤勉さが私たちの強みであったことは間違いないだろう。

二つめは教育水準の高さだ。最近でこそ学校教育の荒廃がもんだいとなっているが、日本の教育レベルは世界平均でみれば総じて高かったはず。典型的な恩恵が、漢字というおそらく世界でもっとも難解な文字を使いながら、ほとんどの人が読み書きできることだ。

そして勤勉さと教育水準の高さを背景として、日本は世界最先端のモノづくり王国となった。独創性には欠けたかもしれないが、そこは徹底したリバースエンジニアリングで補ってきたのだ。そしてカイゼン、カイゼンで磨きをかける。

モノづくりでカギとなっていたのが、理数系の能力である。今でも「社会の新たな問題は科学技術の発展によって解決されると考える人は75%で、2004年調査時の34%、07年調査時の62%から着実に伸びている(日経産業新聞4月23日付9面)」

科学が新しい技術を育み、それが日本の強みであるモノづくりにつながる。だからこそ資源のない日本は、これからも必要な食料やエネルギー資源を海外から買うことができる。これが日本という国を支える根幹である。

ところが、現在の教育は、教育を受ける人たちとの間に齟齬を起こしている。学校の理科や数学の授業が科学的センスの育成に役立つとは思わない人が、20歳代では55%超にもなるという(前掲紙)。これは由々しき問題ではないか。

おそらく問題の根は深い。教える側にも、教えられる側にも問題はある。考えるべきは、どちらにより問題があるかではなく、どうすれば科学的センスを伸ばすことができるのか。ここは、ぜひ企業の力を活かすべきではないだろうか。

企業経営も、あるいは現場でのモノづくりも、求められるのは、徹底してリアルな数学的&科学的感覚である。この感覚を経営者自らが、大学生のインターンはもとより、高校生や中学生の社会見学ぐらいからどんどん受け入れて、伝える。

そんな取り組みをやらない限り、今の学校に任せているだけでは、日本の若者の科学的センスは衰退するばかりだと思う。