4月2日の数字:新車販売台数前年対比2.6倍

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タイに続いて中国からも。
オギハラの事例から
何を読み取るべきでしょうか。

昨日に続いてオギハラ関連のニュースが飛び込んできた。決してエイプリルフールなどではなく、今度は中国の比亜迪(BYD)社が「日本が誇る自動車向けの金型技術を吸収しようと、1日付で金型大手オギハラの工場を買収した(日経産業新聞2010年4月2日付24面)」という。

しかも「できるだけ目立たないように、BYDの看板もロゴもつけていない(前掲紙)」らしい。オギハラはどうしたのか。もとより筆頭株主のタイ企業にとってもおそらくは、メリットのある話なのだろう。もちろんオギハラにもメリットは確実にある。

少なくとも国内の自動車関連企業は、リーマン・ショックで壊滅的な打撃を受けた。一昨年の話になるが中部地方にあるトヨタ関連の二次下請け企業は、受注量が前年対比3%になったという話を聞いたことがある。3%減ではなく、97%減である。

金型業界も被害は甚大だ。受注量が前年対比35%(※35%減ではない)に落ち込んだ企業もあるという(前掲紙)。あるいは以前のエントリーでも書いたように、ある自動車関連企業のトップは、リーマン・ショック以降の事業環境を非連続的変化と表現されていた。早い話、日本企業にとっては、いきなり半値八掛けの世界になったと。

オギハラ経営陣も、この社長と同じような危機意識を持たれているのではないだろうか。いま唯一考えるべきは、かつて経験したことのない競争環境の中での『生き残り策』。現状はまさに、生きるか死ぬかの二者択一しかない。

幸いなことに、今ならまだ自社の技術をタイや中国の新興企業が高く評価してくれる。価値を認めてくれる相手から対価を得るのは、ビジネスの鉄則だ。

ここで浮かび上がってくるのは、日本と中国の間に生まれている妙にねじれた関係だ。そもそも自動車関連の日本企業が「半値八掛け』の世界に放り込まれたのは、自動車メーカーが仕入れ先を安い中国企業にシフトしたから。

一方で、その中国に本拠を置く自動車メーカーは、自社の競争優位性を確保するため日本のパーツメーカーに接近している。日本の自動車メーカーは日本製パーツをオーバースペックと評価し、中国の自動車メーカーは日本製パーツが競争優位を確保するカギと捉えていることになる。

妙なねじれ現象というべきだろうが、技術力ある日本企業には生き残る道があることだけは間違いのない事実だろう。要は経営陣の腹のくくり方一つである。やがて中国のパーツメーカーが力をつけてきたら、このねじれも解消されてしまう。