3月17日の数字:販売台数1364万台

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遂に世界最大の自動車市場となった中国。
次の展開をどう読むか。
そこには、どんなビジネスチャンスがあるでしょうか?

2009年の中国で販売された自動車の台数は、遂にアメリカを抜いた。世界最大の自動車市場の誕生は、30年前から中国政府が取り組んできた振興策の賜物だ。中国の方々はとにかく戦略志向である。基本的に30年スパンで物事を考えているのだ。

ちなみにパソコン関連でも30年前からの人的投資が実を結んでいる。80年代から中国政府は、優秀な学生に米国留学を奨めてきた。やがて帰国した彼らは、さらに政府の優遇策を受けてIT企業を続々と起こしている。

かたや30年先となると、日本では企業30年寿命説ともいわれるように、そんな長期の計画はなかなか考えられないのが正直なところだろう。しかし考えるべきは何も30年先だけとは限らない。

たとえば電気自動車である。すでに中国政府は「EVやPHVなどを新エネルギー自動車と名付け、年50万台の生産能力を持ち、乗用車販売台数の5%前後を占めるようにする(日経産業新聞2010年3月17日付13面)」計画がある。

この目標値は2011年までの短期目標である。であるなら、EVやPHVに向けた投資が今後、中国では急加速する可能性が高い。そのペースがどのようなレベルになりそうか。

参考になるのが自動車の普及状況だろう。今年1300万台を超えた中国の新車販売台数は10年前には、わずかに200万台に過ぎなかったのだ。仮にこれと同じペースでEVやPHVが普及すると考えればどうなるか。

世界のエネルギー需給動向を考えれば、いずれ近い将来に石油がピークアウトすることは目に見えている。30年先を考える中国政府が、その時起こるリスクを計算に入れていないはずがない。とすれば、EVやPHVの普及ペースはガソリンエンジン自動車を上回る可能性もある。

もちろんそのためには、まだいくつかの技術革新が必要となるだろう。ということは、そこにはビジネスチャンスがあるはずだ。EVやPHVは、その製造工程も含めて従来型の自動車とはまったく異なる工業生産物である。ガソリン自動車のようにすそ野の広いピラミッド型の産業集積を必要とはしない。

いま自動車には何の関わりもない企業でも、新規参入の可能性がある。そしてすぐお隣の中国には、巨大な市場がある。今から中国で、電気自動車産業に打って出ることは十分に可能ではないだろうか。