2月9日の数字:商品ヒット率2割切る

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新製品開発、ヒット商品を生み出すためには
天才的な人物が画期的なアイデアをひねり出すしか
方法はないのでしょうか?

「売り上げが各社の予想通りもしくは予想以上だった新製品の割合を『ヒット確率』として聞いたところ、1割8分と2割を切る低水準にとどまった(日本経済新聞2010年2月9日付朝刊15面)」

日経産業地域研究所の調査結果だそうだ。野球なら3割が好打者の目安となるが、新商品もヒット率が2割以下ではちょっと厳しいだろう。調査対象が消費財メーカーだから、日本のような成熟社会ではヒット率が低くなることは当然ともいえる。

だからといって諦めているわけではないようだ。「2〜3年前より新製品の数を増やした企業の割合が減らした企業を上回る(前掲紙)」ともある。開発意欲は落ちていないし、おそらくはそれなりの開発資金も注ぎ込んでいるのだろう。

それでもヒット商品を生み出すことは簡単じゃない。教科書通りにやるなら、先日ご紹介したポメラのように徹底的にSTPを考えることが、まずスタートになる。これがどちらかといえばロジックベースの開発手法だとしたら、もう一つ反対のやり方もある。

聴くのだ。特に「不」を。現状あるいは現製品に対する「不満」「不安」「不具合」「不信」「不便」「不都合」「不快」「不完全」「不自由」「不十分」「不善」「不足」「不徹底」「不都合」「不得手」「不能」「不備」「不服」「不本意」「不愉快」「不利益」なところを。

これらはすべて「不幸」を生み出す要因になる。逆にいえば、それを解消するアイデアが製品化されたとき、その点に困っていた人を幸せにできる。すなわちヒットする確率が高くなる、というわけだ。

ただ聴く相手を間違えないことが大切だ。相手として最高なのは、現状に対して不幸になっている人である。ここが難しい。要するにサイレントクレーマーである。買ってはみたものの、納得できない。だからといって、わざわざ声を上げることもしない。

その声なき声をいかにすくい上げるか。消費財なら、お客様相談室などにかかってきた電話やメール、あるいは商品にはがきでも入れておくしかない。

ということは、ここにBtoB企業ならではのメリットがあることになる。取引を打ち切られた顧客に再度アプローチする。単純に「もう一度、取引をお願いします」というのでは芸も何もないが、「当社の欠点を、ぜひお聞かせください」といえばどうか。

思いもよらなかった不満を引き出せる可能性がある。その不満は、第二の取引打ち切りを防ぐだけでなく、新製品開発の貴重なヒントにもなる。もし自社では「取引を打ち切られた相手から話を聴くのは、どうもちょっと」とためらわれるなら、顧客インタビュー代行を、ぜひ、当研究所にご相談いただきたい。