2月1日の数字:直営店展開、3年で10店舗を目標

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メーカーが直販に乗り出す。
新しい販路開拓は売上アップのための手段の一つですが
既存販路とのバッティングなどはどう考えればよいのでしょうか。

キングジムが新しい販路開拓に乗り出す。同社は本来、BtoBでの売上げが全体の7割を占めていたが、景気悪化の影響を受けて法人需要が激減。その対策として個人需要の掘り起こしに挑むというわけだ。

「直営店ではデザインにこだわった若年層向けの雑貨類の販売に注力し、個人需要を取り込む(日経産業新聞2010年2月1日付16面)」。これは、ある意味マーケティングの教科書的展開ともいえるだろう。

マーケティングで重要なのは、いわゆる4Pだ。すなわちProduct(=商品・製品)、Price(=価格)、Promotion(=販促・広告)そしてPlace(=流通)。早い話がどんなモノを、いくらで、どうやって知らせて、どこで売るか、を考える。

これにSTP、Segment(市場の中のどの領域か)、Target(絞り込んだ対象)、Position(市場、競合を考えた上での位置づけ)を決め込めば、まずは第一ステップをクリアである。

キングジムが今回取り組むのは、新たなPlaceつまり流通経路の開拓だ。ここで考えるべきは、既存流通とのバッティングとなる。いくら個人向け需要が売上の3割とはいえ、個人対象では従来の雑貨店や文具店ルートがある。取扱代理店との話をどうつけたのかが気になるところだ。

恐らくは扱い商品や売り場作りに差をつけることで、既存の個人向けルートでは取り込めていないターゲットを狙うという落としどころに持って行ったのではないだろうか。

同社の年間売上高はざっと300億円程度、直営での売上げ目標が「3年後に全直営店で10億円の売上を計画している(前掲紙)」程度だから、売上全体の3%に過ぎない。これをどう見るのかは、微妙なところだろう。

3年で3%を5年で10%ぐらいにジャンプアップさせるのか、それともとりあえず3%に到達したら据え置くのか。仮に10%となってくると、個人向けが全体売上の3割だから、その3分の1になる。こうなると既存ルートは黙っていないだろう。

とはいえ、同社の連結業績を見ていると営業利益の落ち込みが激しく、そんな悠長なことを言っていられない可能性も考えられる。売上げが落ちているのなら、あるいは適正利益を取れていないのなら、販路を再考する。これが実は、最も手っ取り早いケースもあるのだ。