1月25日の数字:クラウド活用でコスト90%カット

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クラウドサービスを利用するに当たり
パイオニアは富士通を選び、
富士通子会社は富士通からグーグルに切り替えました。
その意味は何でしょうか?

パイオニアは今年2月から、年間10万件に及ぶ調達事務処理を富士通のクラウド・サービスに任せる(日経産業新聞2010年1月5日付1面)。「自前運用のコストは年1億円前後と試算。年1000万円強で済むクラウドを選んだ(前掲紙)」

『クラウド』は、まず間違いなく今年のキーワードの一つになるだろう。それもおそらくはトップランクに入るんじゃないだろうか。クラウド関連ではもう一つ、非常に興味深いニュースも見かけた。

富士通子会社の富士通ラーニングメディアもクラウドサービスを活用するという。しかも、その相手がグーグルなのだ。「(同社は)約600人の従業員が利用する電子メールや社内ウェブサイトを米グーグルのサービスに切り替える。従来は富士通グループの情報システムを利用してきた(日経産業新聞2010年1月10日付7面)」

まとめるならパイオニアは新たにクラウドサービスを利用するに当たって富士通を選び、富士通の子会社は親会社の富士通からグーグルに乗り換えた。

これを以て富士通のクラウドサービスがダメだという話になるわけではまったくない。グーグルが提供していない(できない?)サービスを富士通が扱っているからこそ、パイオニアは富士通を選んだはずだ。

とはいえメールやウェブサイトといったもっともベーシックなサービスでは、やはりグーグルに軍配が上がる。つまり、この二つのケースから学ぶべきは、クラウドのユーザーは用途に応じた使い分けを考えるべきだということ。

では、なぜメールサービスなどではグーグルの方が優れているのだろうか。「量が質を担保する」世界が築かれているからだ。グーグルが一体どれぐらい多くのサーバーを運用しているのか、その正確なところは誰も知らない。もしかしたらグーグル自身も把握していないぐらい膨大な数に上るはずだ。

だからグーグルはサーバーを暗転運用するために電力の自前供給にも取り組もうとしているのだろう。具体的な数はともかく、莫大なサーバー数を抱えていることは間違いのないところだ。そしてクラウドサービスの信頼性や安定度はたぶん、運用しているサーバーの数によって担保されるのではないか。

圧倒的に多数のサーバーを安定運用しているグーグルだからこそ提供できるサービスの堅牢さみたいなものがあるのだろう。加えてコストも安いはずだ。でなければ富士通の子会社がわざわざ、親会社から提供されているクラウドサービスをグーグルに切り替えるとは思えない。

クラウドをいかに社内に導入するのか。導入にあたっては、どのようなサービスを選び、また使い分けるのか。クラウドの活用次第でコストパフォーマンスは大きく変わる。今年は、そのことをしっかり意識する必要がある。