12月15日の数字:1円の節約で利益が倍に

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塵も積もれば山となる。
たった1円の利益も、積み上がればどれだけ巨額になるでしょうか。

鈴木修・鈴木会長の言葉。「1円節約できれば利益は倍になる(日本経済新聞2009年12月15日付朝刊15面)」。

もちろん自動車ならではの製造プロセスが絡んでの話だ。すなわち「自動車は約3万点の部品で構成されている。スズキが年間250万台のクルマを販売するとすれば、750億点の部品を売ることに等しい。部品1点当たりのコストが1円下がれば、スズキが手にする営業利益は750億円増える(前掲紙)」。

確かにその通りである。だから何なんだという話ではあるが、これを会長が語ったと言うことにスズキのすごみがあるのではないか。ミクロの視点とマクロの視点、両方を兼ね備えていること、そして数字に対する認識とこだわり。

まったく業界は違うが、ビル・ゲイツも経営トップだったときには徹底的に数字にこだわったという。彼は常にエクセルのデータを見ている。そして例えば、事務所の床面積が増えているのに、電力量がそれに比例して増えていない、その理由は何だろうと考える。

元マイクロソフトジャパンの社長だった成毛眞氏は「ビル・ゲイツは、それこそバカみたいに細かいところまで数字を見る」とおっしゃっていた。

その見方はといえば、売上や利益、原価、支出などを10年分ぐらい重ねて、時系列での変化を見たり、ある商品モジュール群での変化を見たり。とにかく現場を見るよりも数字を精査することで経営の舵取りをしていたようだ。

すべての経営者が、ここまで細かく数字を見るべきだとは思わない。しかし、自社の経営状態が数字に表されていることも疑いようのない事実。大切なのは、鈴木氏のようにミクロとマクロの視点を持つことに加えて、ビル・ゲイツのように時間軸の中での変化を読み取ることだろう。

マスコミが仰々しく報道してくれるのは、時間の流れを「今」という瞬間で切り取ったデータだけだ。とはいえ良心的な記事や解説には必ず、時系列での変化が記されており、データの出所も書かれているはずだ。

「これは!」と思うデータと出会ったら、現時点での意味だけはなく、過去からの変化実績と、変化の要因を踏まえた今後の変化予想を自分なりにしてみることが大切だ。