12月3日の数字:300万円安く買える家

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いよいよ家もネットで買う時代になってきたようです。
ネットでも家を説明できるだけの技術があり
そうした技術を使いこなし
そこからいろいろなことを読み取るリテラシーを持つ人たちが増えている
そんな時代背景があるのでしょう。

家もネットで買う時代になってきたようだ。ハウスメーカーの何社かがネットでの家の販売に力を入れている。「注文住宅と同程度の耐久性や耐震性などを確保し、営業経費の節減で価格は1戸あたり数百万円安く設定(日経産業新聞2009年12月2日付)」だそうだ。

この記事を読んでまず思ったのが、これまでどんだけ営業経費がかかっていたのか、ということ。1戸家を売るのに数百万円の経費をかける。そんな商品は今どき、珍しいのではないか。

例外はある。いわゆる富裕層向けの商品がそれだ。4年ほど前にセレブを対象とした自動車販売についての企画を立てたとき、富裕層について調べたことがある。超・お金持ちを対象に商売をしている人のコメントには、実はセレブ相手のビジネスがいちばん割がいいとあった。

確かに一軒買うとなれば最低でも3000万円ぐらいのお金が動くのだから、それなりに営業経費がかかるのは仕方ないのかもしれない。それでもエス・バイ・エルの例では、ネットで買えば「施工面積94平方メートルで1027万円だ(前掲紙)」とある。

この価格が仮に営業経費300万円を抜いた結果だとしたら、営業経費率はざっと23%だ。いや本当に住宅のコスト構造は一体どうなっているのかと疑心暗鬼に陥ってもおかしくないのではないか。

エス・バイ・エルぐらいの大手さんともなれば、最近は記憶にないけれど広告だってバンバン打っているだろう。全国各地にモデルハウスを建てなければならないし、営業所だって必要だ。確かに経費率は高いと想像が付く。ということを如実に顕わににしたのが、今回のネット販売住宅ではないのだろうか。

同じようにネット家を売り始めているハウスメーカーにミサワホームがある。同社では「同程度の注文住宅より1戸あたり200万〜300万円安くなる(前掲紙)」そうだ。となると、営業マン不要で人件費カットという流れにつながっていくのだろう。

買い手からすれば、そもそも「当たり」の営業マンと出会えるケースなど滅多にないわけだ。確率的には「はずれ」営業マンにつきまとわれ、粘られ、泣き落としなども受けた結果、自分では納得したのかどうかはっきりわからないままにハンコを押してしまっている、というのが現状だろう。

今後は、こうした営業マンとの人間関係を疎ましく思う客が増えるのは、まず間違いのないところ。逆にネットリテラシーが高く、たいがいのことはモニターで読み取ってしまう人たちが増えることになる。だから家は見せ方さえ工夫すれば、ネットで十分売れる。そんな読みもハウスメーカーにはあるのかもしれない。

であるなら、これは産業財、生産財の販売にもそのまま当てはまる話、なのかもしれない。