11月2日の数字:中国のクルマ生産1000万台突破

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中国の自動車生産が1000万台を超えることが確実になりました。
日本も米国をも抜く自動車大国の登場から、何を読み取るべきでしょうか?

「中国汽車工業協会は20日、2009年の自動車生産台数が1000万台を突破したと発表した。<中略>中国が販売ともに生産でも今年1位となるのは確実だ(日本経済新聞2009年10月21日付朝刊)」

通年予想では1250万台から最大で1300万台と予想されている。ちなみに日本は多くても800万台、自動車生産で日中が逆転することは確実だ。GDPでの日中逆転の前に、まず自動車で日本が中国に抜かれることになった。この意味をしっかり把握しておくことが大切だろう。

いくつかの側面で考える必要がある。まず、自動車産業は非常に裾野の広い産業だ。だから今後は少なくとも中国で、自動車関連産業の競争力が高まっていくだろう。しかも中国は日本やアメリカと比べれば、コストハーフの世界である。中国のパーツメーカーは、全世界のパーツメーカーにとって驚異的な存在となる可能性が高い。

二つ目として、自動車の世界でも中国ならではの非連続的成長が起こる可能性がある。例えば電話とインターネットが好例だが、中国では固定電話が普及する前に携帯電話が広まり、インターネットは電話接続ではなくいきなり光ファイバーの世界に突入している。

後発ゆえに、現時点での最新テクノロジーを何の障害もなく導入できるのだ。これを自動車に当てはめるとどうなるか。ハイブリッドではなく電気自動車(EV)で、一気に世界最新技術を導入してトップに立つ可能性が考えられる。しかもEVならガソリン自動車ほどのノウハウが必要ない。

実際、現時点ですでに中国では百以上の電気自動車メーカーが乱立しているという。そうしたメーカーが作るEVは今のところ、ナンバープレートを付ける必要さえないようだ。

しかも、EV分野には政府も目を付けているようで、もっともクリティカルなパーツ・リチウムイオン電池の材料となるリチウム資源の取り込みに動いている。すなわち「中国政府はリチウム資源の埋蔵量が世界最大のボリビアに急接近するなど、官民一体となって電気自動車の分野で主導権を握ろうとしている(日本経済新聞2009年10月31日付朝刊より)」

少しでも自動車に関わるビジネスを展開している企業は、こうしたマクロのトレンドの行き着く先を常に意識する必要がある。中国がアフリカや南アメリカで展開している資源外交が何をめざしてのものなのかにも注意を向ける必要がある。