10月28日の数字:アマゾン、1ヶ月の保管費1立方メートルあたり7900円

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アマゾンが始めた他社通販の配送代行サービス。
その裏に隠された、アマゾンの極めて巧みな戦略を読めるだろうか?

アマゾンがおもしろいサービスを始める。通販の配送代行サービスだ。これは「アマゾン以外の通販サイトで販売する商品配送を実施するもの。在庫管理や梱包作業も一括して請負、委託収入の拡大につなげる(日経MJ新聞2009年10月19日付9面)」

このサービスを利用すれば、商品と注文受付用のウェブサイトさえ用意すれば、誰でもネット通販を始めることができる。それだけではないたとえば「楽天、ヤフーなどで販売する商品の注文を受けた際にアマゾンにネット経由で商品情報を通知、千葉県にあるアマゾンの物流センターから全国に向けて発送(前掲紙)」してくれる。

アマゾンの配送システムといえば、アスクル並み。発注すれば、たいてい次の日に届く。物流センターから近いところなら、その日のうちに届く可能性さえある。このサービスがアマゾンと同様の配送スピードなのかどうかはわからないが、それなりに早いことは期待できるだろう。

つまり自社で商品保管・管理する手間、配送する手間をすべてアマゾンが代わりに引き受けてくれるわけだ。とても便利ではないか。

しかし、注目したいのはそうしたサービスを提供するアマゾンのモデルの方だ。アマゾンはec2というバーチャルサーバーサービスも展開している。初期費用不要のレンタルサーバーで非常に使い勝手がよい。自前でサーバーを立てることに比べれば、セキュリティやメンテナンスなどトータルコストで大きな差が付く。

では、なぜアマゾンがバーチャルサーバーサービスや配送代行サービスを提供するのか。もちろん委託収入を得ることはあるが、それ以外にも実は隠された狙いがある。本業の圧倒的な強化だ。

アマゾンはバーチャルサーバーサービスをするためにではなく、本業の通販サービスを圧倒的に競合優位なレベルに高めるために、サーバーを強化している。現時点では明らかなオーバースペックレベルまでの強化だ。だから余っているスペックを貸し出して収益を得る。

これは同時に本業の徹底的な強化にもなる。一石二鳥なのである。同じことを配送代行サービスでもやる。つまり倉庫のスケーラビリティを高め、物流システムも他社が付いて来れないレベルに高める。当然、現時点ではオーバースペックとなる。だから、余った能力を他社の通販代行に使い、委託収入を稼ぐ。

これは学べるのではないか。

自社の本業をダントツレベルまで強化する。明らかなオーバースペックとなってもまったく構わない。そして余剰スペックは他社に貸し出して収益化する。いろいろなジャンルに応用できるビジネスモデルだと思う。

ちなみにGoogleがやっているクラウドサービスも基本的には同じ原理のはずだ。